スタートからの動きは軽快、ハンドリングは直進性が強い
センターアームレストに内蔵されているシフトを動かして、Dレンジにシフト。ドライブモードはスポーツ/スタンダード/エコの3モード。スタンダードを選択した。スタートからの動きは軽い。そしてハンドリングは直進性が強い。高速走行での直進性のよさは、安定感があり、気を使わずにロングドライブができる。コーナリングは直進性との戦いだ。FFスポーツらしい感覚だといえるだろう。
スポーツモードに切り替える。重めの操舵力は変わらず、コーナーでの直進性も強い。乗り心地は硬め。ゴツゴツとした動きにカドはないが、硬い。タイヤはブリヂストンの「アレンツァ」235/55R19を履いていた。
動力性能はDレンジ、スタンダードモードで0→100km/hの加速は6秒台後半。1モーター、218PSだが、車両重量が1920kgとシリーズで唯一2000kgを割っている軽さがこの加速性能を可能にしたのだろう。充電は自宅の200V、3kWで行なってみた。14%減ったところで充電してみると、100%まで3時間44分と表示された。このレベルなら日常使いでも不満はない。ちなみに試乗中の電費は6.1~6.5km/kWh。5km/kWh台より上なら、十分好い電費といえるので「B6 2WD」は合格だ。
そして、ようやくデリバリーが始まった「B9」だ。こちらは4WDの「e-4ORCE プレミア」。先進運転支援システムや20インチ専用ホイール、本革シートなど特別な装備を標準設定したモデルだ。パワーユニットは電池容量91.0kWhでカタログでは218PS+218PS=436PS、300Nm+300Nm=600Nmになっているが、システムパワーは395PS、600Nmになる。車両重量はプレミアムで2210kg。同時に試乗した「B6 2WD」より290kgも重い。EVというのはモーター+電池がいかに重いか、ということだ。
しかし、乗り始めて加速計測をしてみると、0→100km/hの加速は5秒台前半。「B6」より1.5秒以上速いのだ。スタートからの電力を消費しているとはいえ、電池容量の大きさの威力はすさまじいものがある。走行距離だが受け取った時は99%充電され、走行可能距離は461km。WLTCCモードでは560kmなので、かなり短くなっている。直前に試乗した状況が走行距離に反映されるので、かなり踏みこんだ試乗をしたのかもしれない。
試乗は「スタンダード」モードでスタート。4WDのドライブモードは「スポーツ」「スタンダード」「エコ」に「スノー」モードが加わっている。走り出して、ちょっと気になったのは低速域での直進性。スタート直後にハンドルが軽くなり、一瞬不安な感じがしたのだ。4WDのビタッとした動きにやや欠けていたのだ。これがシステム的な理由なのかは不明だが、少し気になった。
走り出しからはやや重めの操舵力で、4WDでもやや直進性は強め。「スポーツ」モードに切り替えると重さと硬さは強くなった。タイヤはダンロップの「SPスポーツMAXX」255/45R20を装着していたが、19インチタイヤとの違いは大きくはなかった。
充電は200V、3kWで、73km走行して16%減。83%から100%までの充電時間は5時間4分と表示された。電費は4.1~4.3km/kWh。もう少しの伸びを期待したい。今回の試乗は「B6 2WD」 と「B9 e-4ORCEプレミア」だったが、次は「B9 2WD」と「NISMO e-4ORCE」にも試乗してみたい。
• 関連情報
https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/ariya-details/specifications.html
文/石川真禧照 撮影/萩原文博