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優雅さとスポーティさを兼ね備えたメルセデス・ベンツ「CLE200クーペ スポーツ」の希少価値

2024.09.24

1980年代後半から90年代にかけて、国産車は2ドアクーペの人気が高かった。国産メーカー各社は、こぞって4人乗りの2ドアモデルをラインアップに加えていた。しかし、人気の中心がワゴンやクロカンと呼ばれるRV(レクリエーショナルビークル)に移ると、クーペの販売は激減。各メーカーはたちまちクーペの生産を中止した。この流れはその後も続き、現在、国産車で2ドアクーペといえばトヨタ、レクサス、GR、日産、スバルに数車種が残っているだけになってしまった。

 しかし、欧州車やアメリカ車は1950~1960年代に出現した2ドアクーペを今でも作り続けている。クルマを文化としてとらえている彼らは、たとえ販売数が激減しても数少ないクーペユーザーのためにクルマを開発し、販売しているのだ。メルセデス・ベンツも例外ではない。そして、そのメルセデスから新しい2ドアクーペが発売された。「CLEクーペ」だ。

インテリア、装備、後部座席の実用度は?

 車格は「Cクラス」と「Eクラス」の双方をカバーするサイズ。全長は4850mm、全幅1860mm、全高1420mm。ロングノーズ、ショートオーバーハング、ファストバックルーフの実車は意外に大きく見える。そして、美しいプロポーションだ。

 長さのあるドアを開け、前席に座る。背もたれとヘッドレストが一体となったハイバックシートは専用開発されたスポーツシート。低めの着座位置だが、Aピラーとドア上縁はドライバーに迫っている。小径で握りも太めのハンドルはスポークが2本ずつの最新のツインスポーク。インテリアは試乗車の「200クーペスポーツ」ではAMGラインインテリアが標準装備となっている。

 運転席の目の前には12.3インチの液晶パネル。その隣の11.9インチのディスプレイは、画面が6度、運転席に向けられている。ダッシュボードのトリムや各操作スイッチパネル、ドアパネル、空気吹き出し口にはアンビエントライントが組みこまれている。最新のドイツ車はアンビエントライトが流行だ。

 後席へはストラップを引き、背もたれを倒すと、前席が前方にスライドする。ストラップでの座席操作はメルセデス・ベンツとしては初採用だそうだ。ストラップにはナッパレザーが用いられている。やや窮屈な姿勢で後席に座る。乗降時の姿勢は体を屈めなければならないが、後席に移り、左右1名ずつのセパレートシートに座ってしまえば、頭上のスペースは身長160cmまでだが、足元も一応、広さは確保されている。サイドウインドウはハメ殺しで開閉しないが、ロングドライブも耐えられる空間だ。

 ただし、フロント部から拡がるガラスルーフは薄いシェードで陽射しを遮るだけなので、最近の日本の暑さには耐えられないかもしれない。試乗したのは夏前だったが、気温30℃を記録する猛暑日。路上駐車した後の室内はかなり室温が高く、走り出しても室内は陽射しの強さで、室温が下がらなかった。パノラミックスライディングルーフ22万円のオプションだが、装着は積極的にはすすめたくない装備だ。

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