メルセデス・ベンツの100%電気自動車の第1号は、2021年に登場した「EQA250」。2番目は「EQS」。ほぼ同時に、中国市場向けに「EQB」が発表された。ガソリン/ディーゼルエンジンを搭載した「GLB」のEV版として計画されたモデルは、コンパクトボディーだが、3列シートを備えているのが特徴だった。「EQB」は北京で生産され、中国市場向けに販売されている。
新しい「EQB」はパワーユニットが変更
その「EQB」が新しくなり、日本に上陸した。新しい「EQB」は、パワーユニットが変更された。今回、試乗した「250+は、フロントアクスルに交流同期モーターが搭載され、前輪を駆動する。電池容量は70.5kWh。旧型は66.5kWhだった。車体へのモーターの搭載方法を工夫し、モーターからの振動や騒音が車内に伝わらないように、静粛性の向上に力を入れたという。ちなみに「350 4MATIC」は車名どおり、前後アクスルにモーターを搭載し、4輪を駆動する方式を採用している。「250+」のモーターは190PS、385Nmを発生し、一充電走行距離は557kmと発表されている。
ボディーサイズを姉妹車ともいえる「EQA」と比較してみる。全長は「EQB」が4685mm(EQAは4465mm=以下同)、全幅1835mm(1850mm)、全高1705mm(1625mm)、ホイールベース2830mm(2730mm)なので「EQA」よりひと回り大きいボディーといえる。車両重量は2100kg(2080kg)だ。定員は7名。3列シートなので前から2-3-2の定員になる。
試乗はまず7人乗りの室内から。前列の着座位置はやや高め。調節はレバーによる手動式。頭上のスペースは余裕がある。試乗を行って不便だったのは、小雨の時のワイパー操作。メルセデスはATのシフトをコラムの右側から生えているレバーで行なう。左側のコラムのレバーはウインカーなので、ワイパーは左レバーの頂部の回転式スイッチで操作する。ワンタッチでのワイパー操作ができないのが小雨時には使いづらかった。
2列目の着座位置は高め。座面下のレバーで前後位置を決められる。座席のスライドは左側6、右側4の割合で動かすことができる。スライドは最前部まで動かしても足を入れることはできる。こうすれば3列目の足元は広くなり、窮屈な姿勢にならないで済む。最前部まで動かさず、途中で止めれば、身長165cmぐらいなら2、3列は前後に座ることもできる広さは確保されている。座面だが2列目の中央部はやや盛り上がっており、平らではない。3列目の着座はやや低めだ。頭の部分はリアゲートのウインドにかなり近い。左右のウインドは開閉できないので、閉所感がある。3列目への出入りは、2列目の背もたれを前倒しにすると、スライドしながら乗降用のスペースができるので、そこから行なう。
座面が高く、身体を支えるグリップもないので、3列目の乗降はラクではない。常用できなくはないが、やはり+2シーターとして考えておいたほうがよいだろう。3列目シートの背もたれは、荷台のロープを引くと自動的に前倒しされ、フラットになる。3列目を倒し荷室にすると、リアバンパーからの荷室の奥行は約900mm、3列目を起こすと、約270mmのスペースしか残されていない。トノカバーも3列目を畳んだ状態での仕様になっている。3列目に関しては、メーカーからのプレスリリースにも、「3列目シートは身長165cmが上限」と記載されている。