【AJの読み】食品応用が可能な「天然ケトン体」に期待
勉強会で紹介された、天然原料から開発された発酵法による「天然由来ケトン体」は、日本でも食品としてケトン体を取り入れることが可能になると期待されている。
体内で産生されるケトン体には、β-ヒドロキシ酪酸(BHB)、アセト酢酸、アセトンの3つがあり、アセトンは揮発性が高いため、吐く息とともに排泄されてしまう。BHBとアセト酢酸の割合は6:4~8:2で、体内で多くを占めるBHBが一般的に「ケトン体」と称される。肝臓で産生されたケトン体は、血流を介して筋肉や脳へと運ばれ、エネルギーとして使われる。
BHBには有効成分であるD-BHBと、鏡像異性体であるL-BHBがあり、それぞれ性質や生理作用が異なる。化学合成でBHBを製造すると、D-BHBとその異性体であるL-BHBとが半分ずつ含まれた混合物が得られ、現在アメリカ市場などで流通しているケトン体サプリメントや食品には、一般的に化学合成で製造されたBHBが含まれている。
しかし、体内で糖質が枯渇した際に産生するBHBはD-BHBだけで、体内に取り込んだときに脂肪をエネルギーとして燃焼を助ける作用を持つのはD-BHBのみとなる。つまり、海外で流通している化学合成品のBHBは、実は50%しか脂肪燃焼に作用していないことになり、100%有効成分の「天然ケトン体」の方が、ダイエット効果が期待できるということで、今後の製品化が期待されている。※下記画像は天然ケトン体(D-BHB)ドリンク(非売品)
「ハードな糖質制限や運動をしなくても、ケトン体を経口摂取すれば太りにくい体を作ることに寄与する可能性はありますが、だからといって暴飲暴食をしてはうまくいきません。ケトン体ばかりに甘え過ぎず、食べる量をきちんと管理しながらケトン体を摂取するのが有効でしょう」(池谷氏)
取材・文/阿部純子