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【実家の空き家問題】空き家対策特別措置法で導入された「管理不全空き家」と「特別緊急代執行」とは?

2024.10.06

かつて夢のマイホームと呼ばれ幸せの象徴でもあった持ち家。65歳以上の持ち家率はなんと8割を超えています。しかしいまや、その持ち家がどんどん空き家に。老朽化や管理不全で、安全や景観を脅かし、近隣住民に迷惑をかけるなど社会問題となっています。

その対策として2023年には空き家対策特別措置法が改正され、空き家を放置すると固定資産税が4倍以上跳ね上がることも。すでに実家が空き家になっている人はもちろん、いずれ空き家になるかもしれない人も、いまから対策を講じておくに越したことはありません。

そこで、今回は『待ったなし! 実家の空き家問題を片づける本 2024年最新版』(宝島社)から、空き家対策特別措置法改正で導入された、管理不全空き家と、特別緊急代執行についてご紹介。知らずにいると大変なことになりますよ!

法改正で導入された、管理不全空き家と、特別緊急代執行とは?【実家の空き家問題】

〈改正1〉「空き家対策特別措置法」改正 管理不全空き家制度導入
特定空き家の一歩手前で大きなペナルティ発生!管理不全空き家とはどんな空き家?

管理不全空き家
※画像はイメージ

特定空き家
※画像はイメージ

■住宅用土地の税優遇が早期に解除される

 倒壊の恐れが高く、保安上危険な状態と自治体に認定された空き家を「特定空き家」といいます。法改正前は、空き家を放置していても、特定空き家に認定されるまでは、かなり荒れ果てた状態でも、空き家の持ち主にペナルティはありませんでした。

 近隣の住民からすれば、更地にしてほしいと思うでしょう。しかし、空き家の持ち主は、そう簡単に家を撤去しません。なぜなら、どんなボロ家でも家さえ建っていれば土地にかかる税金が軽減される特例があるからです。更地にすると固定資産税が跳ね上がるため、誰も住まない古い家をほったらかしにする人が後を絶たないのです。

 しかし、もうこれからは、「家が建っていればOK」という時代は終わりました。法改正により、特定空き家になる恐れのある空き家は「管理不全空き家」 に認定されます。この時点で家が建っていても固定資産税の特例が解除され、固定資産税が最大4.2倍に跳ね上がることになったのです。

【管理不全空き家の例(基準は市区町村により異なる)】

割れた窓をそのまま放置している
外装材や屋根が老朽化によりはがれたり、脱落したりしている
門や塀が破損、腐食、ひび割れ状態
立木が隣家や道路にはみ出すほど繁茂している
雨漏りや、排水の流出などが放置されている
□ ゴミの放置、悪臭、動物の棲み着き、ハエ、蚊など虫の発生などが起こっている

〈Before〉これまでは、とりあえず家が建っていれば固定資産税が減額されていた!

〈After〉管理不全空き家制度導入でほったらかしはもう許されません!

※画像はイメージ

※軽減措置が解除されると、住宅用地以外の土地として固定資産税・都市計画税が計算される。負担調整率があるため、固定資産税は4.2倍、都市計画税は約2倍となる

〈改正2〉「空き家対策特別措置法」改正 危険な空き家は特別緊急代執行に!
特定空き家になると行政による強制撤去の対象に莫大な解体費用が請求されることも!

[特定空き家とは?(1つでも当てはまれば特定空き家)

1 倒壊など著しく保安上危険となる恐れがある状態
2 アスベスト(石綿)の飛散やゴミによる異臭の発生など、著しく衛生上有害となる恐れがある状態
3 適切な管理がされていないことで著しく景観を損なっている状態
4 その他、立木の枝の越境や棲み着いた動物のふん尿などの影響によって、周辺の生活環境を乱している状態
*政府広報オンライン「年々増え続ける空き家! 空き家にしないためのポイントは?」より

管理不全よりさらにひどい危険な空き家のこと!

※画像はイメージ

■危険な空き家はすぐ取り壊しも!

 自治体に認定された「特定空き家」は、そのまま放置すると、倒壊によって近隣の住民に被害が出る恐れがあるため、最終的には自治体が持ち主に代わって空き家を撤去する「行政代執行」の対象になります。

 これまでは、代執行で空き家を撤去するには自治体が持ち主に対して「助言・指導・勧告・命令」という段階を踏まねばなりませんでした。勧告の段階で固定資産税の特例が解除され、命令に従わないときは50万円以下の罰金が科せられ、それでもほったらかしならいよいよ、代執行という段取りで進むため、取り壊しまで時間がかかるのが難点でした。

 しかし、法改正により、周辺住民の安心安全のために緊急性がある場合には、命令なしで特定空き家の代執行ができるようになりました。

 代執行費用は、全額空き家の持ち主に請求されます。支払えないと財産が差し押さえられ、たとえ破産しても支払い義務を免れることはできません。

[特定空き家の末路とは?]

所有者は解体費用を請求される

● 空き家の解体費用は全額所有者負担
● 支払いが不可能な場合は財産差し押さえ
● 破産しても行政代執行の費用は残る

★ ★ ★

待ったなし! 実家の空き家問題を片づける本 2024年最新版』(宝島社)1320円
監修・牧野知弘

監修/牧野知弘(まきの ともひろ)
不動産事業プロデューサー、経済・社会問題評論家。東京大学経済学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)、ボストン コンサルティング グループ、三井不動産などを経て、オラガ総研代表取締役兼全国渡り鳥生活倶楽部代表取締役。著書に『知らないと大損する![図解]実家の「空き家問題」 をズバリ解決する本』(P H P研究所)、『負動産地獄 その相続は重荷です』(文春新書)ほか多数。

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