裁判所のジャッジ
裁判所
「Y子は妻に慰謝料200万円を払え」
不貞行為を認定した理由はおおむね以下のとおりです。
・Y子は夫の家にお泊まりしている(探偵の調査報告書)
・夫の車のトランクにコンドームがあった(妻とは使っていないのに)
・北海道旅行に行くくらい親密な仲
・妻が家を出ていった2日後には夫のマンションにいた
・Y子が夫の自宅に泊まった翌日には、Y子は前日に着ていた服と別の服装で出てきており、前もってY子の服が夫の自宅にあったと考えられるetc.
▼ Y子は家政婦だった?
今回、Y子と夫は以下の言い訳をしました。
Y子
「この男性のマンションに出入りしていたのは、掃除や洗濯の家事を手伝うためです。この男性から『会社の経営で忙しくて家事ができないからお願いしたい』との依頼を受けてマンションに出入りしていたんです。私はこの男性の家政婦だったんです。SEXしてません」
―― 旦那さん、そうなんですか?
夫
「はい。Y子の言うとおりです」
―― 裁判所さん、いかがですか?
裁判所
「シャラップ!深夜に頻繁に掃除や洗濯をするためだけに1人暮らしの男性宅を訪れるというのは極めて不自然である。Y子や夫の供述を信用することはできない。あと『私は家政婦だった』という主張は、裁判がカナリ進んだ段階で出てきており不自然です。本当に家政婦だったならY子が給料を受け取ってしかるべきだがそういう証拠も提出されていないですよね。あなたたち2人の供述は信用できません」
▼ 慰謝料が200万円となった理由
以下の事情を考慮して200万円となりました。
・不貞行為によって別居に至り、婚姻関係が実質的に破綻した
・妻が別居前に忠告したり別居後に請求したが、2人は不貞関係を継続させている
・婚姻期間(約14年)
・長男が4歳くらい
■ マメ知識
認められる慰謝料は、10万円~300万円くらいです。裁判所は以下の事情などを総合考慮して金額をハジき出します。
以下、
X:あなた
A:配偶者
Y:浮気相手
・婚姻期間
・子どもの年齢、養育状況
・不貞の期間、回数
・AとYのいずれが主導的であったか。
・XがYに対して「Aとの関係を絶ってほしい」と申し入れたか
・XとAは離婚したか
・XA間が悪化した原因がAYの不貞行為以外にもあるか
・XとAの夫婦関係が円満であったかどうか
・同居か別居か
・Xも別人と不貞関係にあったか
・XはAを許しているか
・XのYに対する報復行為の有無、 内容etc.
島倉千代子は歌っていました。「人生いろいろ、男もいろいろ、女だっていろいろ」。
不倫関係もいろいろなので、さまざまな事情を考慮して裁判官が金額をハジき出します。
今回は以上です。「こんな解説してほしいな~」があれば下記URLからポストしてください。また次の記事でお会いしましょう!
取材・文/林 孝匡(弁護士)
【ムズイ法律を、おもしろく】がモットー。法律コンテンツを作ることが専門の弁護士。
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