片手持ちでの写真、動画撮影が超快適になるカメラコントロール
ハードウエア面での大きな進化ポイントとして、電源ボタンの下に搭載されたカメラコントロールがある。触覚フィードバックと感圧センサーを備えており、厳密に言えば物理的なボタンではないものの、シャッターボタンのような操作感で利用できる。
ロック画面やホーム画面などからカメラコントロールを押すと、カメラアプリが起動する。そのままワンタッチで写真撮影、長押しで動画の撮影が行える。
また、軽くクリックするように触ると、ズームや露出補正といった設定項目が表示されるので、スライド操作で細かな調節が行える。
つまり、デジカメでいうシャッターボタンとダイヤルの両方が1つになったようなイメージだ。これにより、片手でさっと写真や動画を撮影するのが簡単になっている。
慣れるまでは、これまでのカメラ機能と同様に、ついディスプレイ内のシャッターボタンや設定項目をタップしてしまいがちだが、慣れればかなり快適。
特に、さっと写真や動画を撮りたい人、デジカメなどの操作に親しみがある人には、おすすめと言える。
ちなみに、カメラコントロールはサードパーティのアプリ向けにも開放予定。そのため、それぞれのアプリで独自の操作が割り当てられる可能性がある。
見た目からはわからないカメラの進化も
アウトカメラは前モデルから変わらず3眼構成だが、内容が変わっている。
メインカメラは、48MP Fusionというもので、第2世代のセンサーを搭載。データの転送速度が上がっており、ProRAWやHEIFの撮影時のシャッターラグが少なくなるとのこと。
実際に使い比べて、極端に違いを感じることはないが、もちろんストレスを感じるシーンはない。また、メインカメラでは、イメージセンサーの中心を切り出して、12MPの光学2倍相当の撮影ができる。
超広角カメラは、iPhone 15 Proが12MPだったのに対し、iPhone 16 Proでは48MPとなっている。視野角は120度で前モデルと共通だが、より高解像度の写真が撮影できるようになった。
望遠カメラは、iPhone 15 Proが光学3倍対応だったのに対し、iPhone 16 Proは5倍望遠となった。iPhone 15シリーズでいうと、iPhone 15 Pro Maxにのみ搭載されたものだが、今回はPro、Pro Maxの両方で共通となった。
動画撮影では、4K・120fpsの撮影に対応。高画質が特徴なのはもちろんだが、コマ数の多い動画を撮ることで、再生速度をコントロールし、スローモーション動画を手軽に作れるようになっている。
また、スタジオクラスのマイクを搭載することで、オーディオミックス機能も搭載する。動画の撮影後に、人の声を強調したり、映画用のサウンドフォーマットのように仕上げたりと、本格的な編集がiPhone単体でできるのが特徴だ。
A18 Proはさらに早く進化
搭載チップセットは、A18 Pro。前モデルのA17 Proから、順当に1世代進化した形となる。
A17 Pro比では、CPUが最大15%、GPUが最大20%高速化した。レイトレーシングも2倍の速度になっており、より没入感のあるゲーム体験ができる。
iPhone 15 Proの時点でかなりの高性能であるため、処理スピードの高速化を実感できるシーンは少ない。強いていえば、ゲームアプリを長時間プレイした際の発熱が、やや抑えられているかも、といった程度だ。
気になるのが、日本では2025年中に登場予定となっているApple Intelligenceの動作性だ。
iPhone 16 Proの公式サイトに「Apple Intelligenceのために設計されています」と記載があるように、AIのレスポンス速度、例えば画像を生成する時間などに、差が生まれる可能性は大いにあるだろう。ここは、一早い日本対応を期待したいところだ。
取材・文/佐藤文彦