私たちの生活に欠かせない食品や衣料品、生活物資から工業製品に至るまで、身の回りのありとあらゆるモノは、海外市場と密接に関わり合っている。
そして日本と海外との間でモノのやり取りを行う際に重要な要素となるのが、日本の円と海外の通貨の交換比率、となる為替レートだ。ここ数年、加速的に進行していた円安傾向は、中古バイクの相場にも大きな影響を与えている。
こうした状況を受けてバイク未来総研(運営:バイク王&カンパニー)はこのほど、バイク王が独自に収集した、国内で開催されているバイクの業者オークションの取引データと、オークション関係者への取材を通して見えてきた海外バイヤーの動向をまとめたレポートを公開した。
海外バイヤーの存在感は、直近4年間で6ポイント増加
コロナウィルスの感染拡大による世界経済への影響が顕在化し始めた2020年以降、円安の傾向が顕著となった約4年間で、国内で開催されているバイクの業者オークションに占める海外バイヤーの落札率(※1)は約6ポイント増加している。
※1. 国内で開催されている、一部のバイクの業者オークションでの落札率を一定期間で集計したもの
日本の車検制度などが影響?海外バイヤーが「USED IN JAPAN」のバイクに注目する理由
一般財団法人自動車検査登録情報協会(略称 自検協)の自動車保有台数データによると、2024年3月末現在、日本には8250万台以上の自動車が保有されており、そのうち、原付を除いた二輪車は407万台を占めるとされている。これらの日本国内の中古バイクが海外バイヤーに注目される理由について、オークション関係者への取材を通して見えてきたこととして、流通する中古バイクのクオリティが高いということが挙げられる。
国土面積やインフラ環境の違いによって年間の走行距離が少ないことや、日本の特徴的な車検制度などが大いに影響しているものと考えられる。バイクの分野においても「MADE IN JAPAN」に加え、日本で使われていた製品が高品質であることを指す「USED IN JAPAN」が生まれつつある。
排気量の大きなモデルは、欧州や中東諸国の海外バイヤーに人気
取材を通して聞くことができた海外で人気の日本製バイクとしては、カワサキ・Z1000、NINJA 1000SX、ヤマハ・MT-09、MT-07、トレーサー、スズキ・GSX-S750、GSX-S1000、Vストローム650、Vストローム1000、ハヤブサ、GSX-R1000等の車名が挙がった。他に、ホンダ・アフリカツインやヤマハ・テネレなどの大型アドベンチャーモデルは、ヨーロッパなどに人気が高い印象となった。その他の大型ロードスポーツも中東諸国などを中心に人気がある模様だった。
■バイク未来総研所長 宮城光氏のココがポイント
現在、国内の中古車業界を取り巻く状況は、結果として悪い状況ではないことが上記の報告からも理解していただけると思います。 USED IN JAPANのバイクが海外から注目される理由が幾つか紹介されていますが、日本の中古車販売業に携わる我々がその価値をよく理解し、ニーズにマッチした商品を継続的に提供することで、品質への信頼に加え、流通への信頼も獲得でき、更なる日本中古車産業発展に繋がるチャンスとも言えます。 今後についても、ニーズに応えられる質、量ともに兼ね備えた中古車両をタイムリーに仕入れることが出来るかということが重要な鍵になることでしょう。
構成/こじへい