はじめに
新NISA制度の導入により、多くの方が注目している金融商品がありますが、その中でもひときわ人気を集めているのが、「オルカン(オールカントリー)」です。
オルカンは全世界に分散投資ができることで、投資初心者から金融関係者まで幅広い層に支持されています。しかし、オルカンだけで本当に資産形成が最適なのか、疑問を持つ方も少なくないでしょう。そこで今回は、オルカンの強みを解説しつつ、その限界についても掘り下げ、投資家のリスク許容度に応じた別の選択肢を解説していきます。
オルカンとは何か?その人気の理由
そもそも「オルカン」とは、「全世界株式インデックスファンド」の略称で、全世界の株式市場に広く投資できるインデックスファンドの一種です。最大の魅力は、個別の株式や特定の国・地域にこだわらず、全世界の株式市場に分散投資できる点です。
これにより、特定の国やセクターへの依存を避け、リスクを分散することができます。
また、オルカンは手軽さでも優れています。個別の株式投資では、どの企業や国に投資するかという難しい選択を迫られますが、オルカンを選ぶことで、世界経済全体の成長に乗ることが可能になります。初心者にとって、これほど分かりやすく安定感のある商品はほかに少ないでしょう。
さらに、オルカンは長期投資に向いています。特定の国や企業に偏らない分、短期的な価格変動リスクを軽減し、長期的な成長を目指すことができるのです。
実際、過去20年で約7倍ほど成長しており、新NISAのような税制優遇を活かしつつ、10年、20年先の資産形成を考える投資家にとって、オルカンはまさに「ほったらかし投資」ができる理想的な選択肢のひとつと言えるでしょう。
オルカンの注意点は米国市場への集中度の高さ
しかし、ここで注意すべき点があります。オルカンは「全世界に分散投資できる」と言われていますが、実際にはその中身は米国市場への偏りが非常に大きいのです。全世界株式という名前からは、各国の株式に均等に投資しているかのように思えますが、現実的には米国が約60%以上を占めています。
もちろん米国は世界最大の経済大国であり、テクノロジーや金融をはじめとする主要産業で世界をリードしています。このため、米国株式市場がファンド全体に大きな影響を与えることは避けられません。米国経済の成長が続く限りは、オルカンもその恩恵を受けるでしょう。しかし、逆に米国経済が低迷した場合、オルカン全体の成績にも大きく影響を与える可能性があります。
たとえば、2008年のリーマンショックのように、米国市場が大きく崩れた場合、オルカンを通じて世界中の投資家がその影響を受けることになります。オルカンは「全世界型」ですが、実際には米国への依存度が高いことを念頭に置く必要があります。
投資家はこのリスクを理解し、特に運用資産が多い投資家にとっては、他の選択肢を検討することが求められるでしょう。