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覗いてみたい!黄泉の世界へ誘う「横穴式石室」の魅力

2024.09.21

【古墳王子の早口コラム】

こんにちは、小学生の頃から古墳の魅力に目覚め、訪ねた古墳は3000基以上の高校生、古墳王子です。
このコラムでは皆さんにディープでマニアックな古墳の魅力が伝わるよう、僕が感じた感動や発見をオタク特有の早口でお伝えしていきます。

さて今回は禁断の、黄泉の世界の入口へ、古墳の心臓部ともいえる石室について語りたい!今までのコラムでも何度か石室という単語が出てきたかと思いますが、より具体的にマニアックにその魅力をご紹介しましょう。

安らかに、でもちょっとはゴージャスさも欲しい!? 古墳の石室とはいったいなぁに?

今から約1500年前、倭国大乱を経てヤマト王権が確立していくという、日本列島が激動の時代を迎える頃に多く築かれた古墳は、まずは見た目が大事とばかりに墳丘の大きさや高さを重視しているわけですが、権力者たちがこだわったのはそれだけではありません。

自分たちが安らかに、そしてあわよくば蘇りたいなぁ……黄泉ってどんな感じかわからんし、とりあえずいろいろ持って行った方がよくない?と考えていたのでしょうか。

魔除けの鏡や刀剣、身につけるアクセサリーなどの副葬品を一緒に安置したい、ベッド代わりに棺も大きく豪華にと、自らが埋葬される部屋『石室』にもこだわるようになりました。

もちろん、古墳にもランクというか立地条件や財政状況もあるので、全ての古墳に石室が用意できたわけではなく、そのまま埋葬した『直葬』や石を使わず固めの土を用いた『粘土槨』などの例も多くあります。しかしやはりスタンダードになっていくのは石室、大きく分けると竪穴式石室と横穴式石室です。

瓢箪山古墳の竪穴式石室模型(滋賀県立安土城博物館)

この二つの石室の違いは時代と構造。古墳時代が幕を開けた当初は竪穴式石室が主流で、古墳の一番良い感じの場所、いわゆる墳頂部などに穴を開け、石を敷き詰め埋葬施設を造り、ご遺体を安置すると上から石と土を被せて古墳を完成させるスタイルでした。

しかし時代が進むと共に竪穴式石室は姿を消していき、古墳の墳頂から穴を開けるのではなく横から穴を開け埋葬施設を造り、最後は出入口を石で塞ぐ横穴式石室が主流となっていきます。

では、なぜ竪穴式石室をやめちゃったの?という疑問が浮かび上がるわけですが、研究者の皆さんの見解では竪穴式石室は構造上1回しか埋葬チャンスがない(石室が崩れてしまう)のに対し、横穴式石室は入口を塞ぐ石を開ければ何度も中に入ることができ、追加で数体埋葬可能というメリットがあったからではないかといわれています。

確かにいずれは配偶者や子ども、親と一緒に埋葬されたい、たくさん古墳を造れるほどの予算と場所が確保できないなどの問題を、一気に解決できる横穴式石室は大変便利ですね!

八幡社古墳群46号墳の横穴式石室模型(滋賀県立安土城考古博物館)

古墳時代が終わりを迎える頃には、大陸から伝わった仏教の影響で火葬という文化が入ってきてしまい、古墳も小型・簡素化へ。石室ほどは広くない横口式石槨が登場したりしますが、やがて薄葬令で古墳は造られなくなってしまうのです。

あぁ、これはなんという哀しみ! ぼくたち古墳マニアは、この一連の古墳の隆盛と衰退の流れを知ってしまっているので、現在でも見学できる古墳があれば会いたいし、もし横穴式石室に入れるならば這ってでも中に入ってみたい。

もちろん被葬者の方を悼み鎮魂の祈りを捧げつつ、実際に古墳を築造した1500年前の古墳職人の皆さんの卓越した技術の粋を見てみたいのであります!

観音塚古墳の横口式石槨(大阪府羽曳野市)

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