世界B級グルメ列伝「世界はうまいで満ちている」
「絶品B級グルメ」とか「ソウルフード」と呼ばれるものは日本全国にある。で、みなさんはこう考えたことはないだろうか。「日本各地にあるんだったら世界各地にも当然B級だけど超絶うまいものがあるんじゃないか?」と。
というわけで世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターたちの集まり「海外書き人クラブ」が、居住国や旅先で出会った「絶品ソウルフード」を大紹介するシリーズ。今回はアメリカから「葬式ポテト」をお届けする。
「葬式ポテト」と聞くと、みなさんはどんなイメージを持つだろうか? 「えっ! 呪われているの?」と一瞬食べるのを戸惑ってしまう人もいるかもしれない。
でもご安心を! このユニークなネーミングの食べ物は、地元の人から愛されるユタ州のソウルフードなのだ。
おしゃべりが盛り上がる各家庭の味 世界はうまいで満ちている
英語ではFuneral Potatoes(Funeral=葬式 Potatoes=ポテト)。ベーシックなレシピはハッシュブラウンポテト、シュレッドされたチーズ、キャンベルのチキンクリームスープを混ぜ合わせ、キャセロール皿(耐熱皿)に入れて、表面がサクサクになるようにコーンフレークを振りかけてオーブンで焼くだけ!手軽で簡単に作れて、一度に多くの量を調理できるキャセロールの代表ともいえるのが、この葬式ポテトだ。
ベーコンでさらに表面をカリカリにするのが我が家流。
材料を耐熱皿に入れて、後はオーブンにお任せするので、我が家でも来客のあるときは簡単に作れて重宝しているレシピのひとつ。と言いつつ……。我が家のシェフは料理が得意な旦那さんだ。ベーシックなレシピを少しアレンジして、ポテトは角切りでサワークリームを追加、そしてトッピングにベーコンとネギを散りばめたオリジナルバージョン。
実はこの日、20代の娘がルームメイトと一緒に遊びに来たので、葬式ポテトでおもてなしをした。生まれも育ちもユタ州で、「クリスマスシーズンになると、ホリデーディナー用に必ずお母さんが作ってくれる葬式ポテトが一番おいしい!」と笑顔で話してくれた娘のルームメイトの女の子。
さて、生粋のユタ州の20代の女の子が食べた、我が家の葬式ポテトの感想は?
「超おいしい~!」
耐熱皿で作ったものを、フライ返しやスプーンですくい取って提供するのが一般的。
クリーミーなので、お皿に盛りつけるとグニュっと崩れるのもB級グルメ感たっぷりだ。
ちなみに、彼女の家でもサワークリームとネギをいれるらしいが、ベーコン入りは初めて食べたそうだ。こんな風に、食卓が各家庭のレシピの話題で盛り上がるのも、「葬式ポテト」がユタ州のソウルフードと言われる理由のひとつかもしれない。