悪気なく失礼なことを言ったり、話を聞いていなかったり、集団行動が苦手だったり、喜怒哀楽の変化が激しかったり…発達障害の人とのコミュニケーションはときに難しいことがあります。そんなとき、本人たちは何を感じ、どんな世界を見ているのでしょうか?
精神科医の岩瀬利郎氏による15万部突破のベストセラーとなっている『発達障害の人が見ている世界』は発達障害の人と周りの人が見ている世界の違いを分かりやすく紹介し、特性を持つ子どもの親から、ビジネスパーソンまで、幅広い読者に支持されています。今回はそのマンガ版である『マンガでよくわかる! 発達障害の人が見ている世界』から一部を抜粋・編集し、発達障害への理解を深めるヒントを紹介します。
〈ドクターズコラム2〉その他の発達障害と合併症
神経発達症群には、ADHDとASDだけではなく、限局性学習症(SLD)、知的能力障害群、コミュニケーション症群、発達性協調運動症、他の神経発達症群などがあります。
その中で、本書がADHDとASDに絞ってお話ししてきたのは、その2つのどちらかを持つ人数が突出して多いからです。
日本ではおよそ20人に1人がADHD、100人に1人がASDとも言われています。
ADHDとASDは「その場にそぐわない発言をする」など、似た症状を示すことがあります。
しかし、症状が発現する理由は異なり、たとえば失言の場合、ADHDは衝動性、ASDはコミュニケーション障害によるものとされています。
そして、さらに話は複雑になりますが、ADHDとASDを併発する人もいます。たとえば「落ち着きがない」というADHDの特性と、一見それと相反する、「変化を嫌い、ルーチンワークを好む」というASDの特性の、両方を持つ人がいるのです。
ADHDとASDの人は、他にも、発達性協調運動症や学習症、発達性言語症などを合併している場合があります。
そのような複雑な状況になると、医療機関を受診しなければ詳しくはわかりません。
発達障害が疑われる場合は、特性の表れ方によっては、精神科や児童精神科の受診もご検討ください。
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「マンガでよくわかる!発達障害の人が見ている世界」
著者岩瀬利郎(監修) ゆむい(マンガ)
発行所 株式会社アスコム
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岩瀬 利郎(いわせ・としお)
精神科医、博士(医学)。東京国際大学医療健康学部准教授。埼玉石心会病院精神科部長、武蔵の森病院院長、東京国際大学人間社会学部専任教授、同大学教育研究推進機構専任教授を経て現職。精神科専門医、睡眠専門医、臨床心理士・公認心理師。15万部を超えるベストセラーとなった『発達障害の人が見ている世界』(アスコム)他、『認知症になる48の悪い習慣 – ぼけずに楽しく長生きする方法』(ワニブックス)、『心理教科書 公認心理師 完全合格テキスト 第2版』(共著、翔泳社)など著作多数。「偉人たちの健康診断」(NHKBS)、「櫻井・有吉THE夜会」(TBS)、「ノンストップ!」(フジテレビ)など、メディア出演も数多い。
構成/DIME編集部