悪気なく失礼なことを言ったり、話を聞いていなかったり、集団行動が苦手だったり、喜怒哀楽の変化が激しかったり…発達障害の人とのコミュニケーションはときに難しいことがあります。そんなとき、本人たちは何を感じ、どんな世界を見ているのでしょうか?
精神科医の岩瀬利郎氏による15万部突破のベストセラーとなっている『発達障害の人が見ている世界』は発達障害の人と周りの人が見ている世界の違いを分かりやすく紹介し、特性を持つ子どもの親から、ビジネスパーソンまで、幅広い読者に支持されています。今回はそのマンガ版である『マンガでよくわかる! 発達障害の人が見ている世界』から一部を抜粋・編集し、発達障害への理解を深めるヒントを紹介します。
周囲のざわざわした音が気になって、会話や仕事に集中できない
耳から入る音がすべて同じ音量で聞こえてしまうため、環境整備が必要
イベントを運営する部署に異動になったASDの会社員・Kさん(28歳・男性)は、聴覚過敏の中でも、周囲の音がすべて同じ大きさで聞こえてしまうという特性があります。
そのため先日も、イベント中に「話しかけたのに無視された」とクレームが入ってしまいました。また、会議や人ごみの中での会話にも苦労し、一日中緊張しっぱなしだといいます。
Kさんの見ている(聞いている)世界を想像すれば、その疲労が計り知れるでしょう。周りの理解と配慮が欠かせません。
職場の席を静かな場所にする。会議は少人数か、ZOOMなどオンラインで。パーテーションを立てて視覚・聴覚情報を減らしたり、イヤーマフやノイズキャンセリングのヘッドホンの着用を許可したりするなど、刺激を減らすよう環境を整えてあげてください。また、自分が“過敏”だと自覚していない人もいるため、何が苦痛なのか、それとなく聞いてみることで、本人の特性が明らかになることもあります。
〈生きづらさを抱えるあなたへのヒント!〉
私はADHDですが、やっぱり人ごみの中での会話が苦手です
ADHDの人も、ざわざわした環境での会話や仕事が苦手です。これは多くの場合、気になる刺激に次々と意識が移ってしまい、集中力が続かないことが原因。この場合の対応策も上記と同じです。極力静かな環境で仕事ができるような整備や、雑音をカットするヘッドホンなど文明の利器を活用してみてください。
★ ★ ★
「マンガでよくわかる!発達障害の人が見ている世界」
著者岩瀬利郎(監修) ゆむい(マンガ)
発行所 株式会社アスコム
【Amazonで購入する】
【楽天ブックスで購入する】
岩瀬 利郎(いわせ・としお)
精神科医、博士(医学)。東京国際大学医療健康学部准教授。埼玉石心会病院精神科部長、武蔵の森病院院長、東京国際大学人間社会学部専任教授、同大学教育研究推進機構専任教授を経て現職。精神科専門医、睡眠専門医、臨床心理士・公認心理師。15万部を超えるベストセラーとなった『発達障害の人が見ている世界』(アスコム)他、『認知症になる48の悪い習慣 – ぼけずに楽しく長生きする方法』(ワニブックス)、『心理教科書 公認心理師 完全合格テキスト 第2版』(共著、翔泳社)など著作多数。「偉人たちの健康診断」(NHKBS)、「櫻井・有吉THE夜会」(TBS)、「ノンストップ!」(フジテレビ)など、メディア出演も数多い。
構成/DIME編集部