悪気なく失礼なことを言ったり、話を聞いていなかったり、集団行動が苦手だったり、喜怒哀楽の変化が激しかったり…発達障害の人とのコミュニケーションはときに難しいことがあります。そんなとき、本人たちは何を感じ、どんな世界を見ているのでしょうか?
精神科医の岩瀬利郎氏による15万部突破のベストセラーとなっている『発達障害の人が見ている世界』は発達障害の人と周りの人が見ている世界の違いを分かりやすく紹介し、特性を持つ子どもの親から、ビジネスパーソンまで、幅広い読者に支持されています。今回はそのマンガ版である『マンガでよくわかる! 発達障害の人が見ている世界』から一部を抜粋・編集し、発達障害への理解を深めるヒントを紹介します。
片付けられない、処分できない。汚部屋に住む人の真実とは?
分類・処分・片付いた状態のキープまで身近な人が手を貸してあげよう
ADHDのJさん(23歳・女性)は片付けが苦手。デスク周りは物であふれ、毎日のように探し物。自宅の部屋も同じ状態です。
ADHDの人のこのような片付け下手は、注意散漫な特性や、空間認識能力の弱さが原因と考えられていますが、本人もそれが心地よいとは思っていません。気が散りやすいADHDの人は、整頓された空間のほうが、本来は居心地がいいはずなのです。
単に「片付けろ」と言っても、どこから手をつけていいかわからないことが多いため、周りの人が手助けをしましょう。
とりあえず必要なものをまとめて、1か所に置くところからはじめます。それから、“いま必要なもの”“とりあえず取っておくもの”というふうにざっくり分類し、明らかな不用品(たくさんあるはず!)は必ず処分させます。肝心なのはその後の維持。
置き場所や定量を決めることで物が増えることを防げますし、机の上、引き出しの中、棚の上などブロックに分け、1日1か所ずつ、必ず片付ける習慣づけを促しましょう。
〈生きづらさを抱えるあなたへのヒント!〉
散らかってるって言われるけど、自分としてはこれが一番心地いい
同じ乱雑な状態でも、ASDの人は、「物が取りやすい」など本人のルールでは理にかなっていることがあります。ASDの特性のひとつにコレクター気質があり、周りは理解できなくても、本人には宝物ということもあります。職場や学校など公共スペースでは配慮ができているなら、無理に片付けなくてもよいでしょう。
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「マンガでよくわかる!発達障害の人が見ている世界」
著者岩瀬利郎(監修) ゆむい(マンガ)
発行所 株式会社アスコム
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岩瀬 利郎(いわせ・としお)
精神科医、博士(医学)。東京国際大学医療健康学部准教授。埼玉石心会病院精神科部長、武蔵の森病院院長、東京国際大学人間社会学部専任教授、同大学教育研究推進機構専任教授を経て現職。精神科専門医、睡眠専門医、臨床心理士・公認心理師。15万部を超えるベストセラーとなった『発達障害の人が見ている世界』(アスコム)他、『認知症になる48の悪い習慣 – ぼけずに楽しく長生きする方法』(ワニブックス)、『心理教科書 公認心理師 完全合格テキスト 第2版』(共著、翔泳社)など著作多数。「偉人たちの健康診断」(NHKBS)、「櫻井・有吉THE夜会」(TBS)、「ノンストップ!」(フジテレビ)など、メディア出演も数多い。
構成/DIME編集部