悪気なく失礼なことを言ったり、話を聞いていなかったり、集団行動が苦手だったり、喜怒哀楽の変化が激しかったり…発達障害の人とのコミュニケーションはときに難しいことがあります。そんなとき、本人たちは何を感じ、どんな世界を見ているのでしょうか?
精神科医の岩瀬利郎氏による15万部突破のベストセラーとなっている『発達障害の人が見ている世界』は発達障害の人と周りの人が見ている世界の違いを分かりやすく紹介し、特性を持つ子どもの親から、ビジネスパーソンまで、幅広い読者に支持されています。今回はそのマンガ版である『マンガでよくわかる! 発達障害の人が見ている世界』から一部を抜粋・編集し、発達障害への理解を深めるヒントを紹介します。
朝なかなか起きられない一方で、夜はいつまでも寝られない
まずは生活リズムを整えること。それでも改善しなければ専門家に相談を
発達障害の人は夜型の傾向が強く、睡眠の問題は子どもにも見られます。Kちゃん(8歳・女子)も夜はなかなか眠れず、日中眠くなる傾向にあるようです。子どもの場合は、睡眠障害から不登校になったり、授業中に寝てしまったりという問題にもつながります。つい周りは「早く寝ればいい」と考えてしまいがちですが、簡単ではありません。発達障害の人の睡眠障害は、多くの場合、多動や過集中、感覚過敏などからくるストレスや、生活習慣の乱れが原因となる二次障害と推測されるからです。
そのため、私は大人にも子どもにも、まず生活習慣の改善を提案します。早寝早起きや規則正しい食事、運動習慣などで生活リズムを整えるとともに、眠りにつきやすい寝室の環境や入眠の儀式などで、睡眠の質を改善していきましょう。睡眠不足による神経の乱れが発達障害の特性を助長させることもあるため、睡眠専門外来などを頼ることも視野に入れてください。
発達障害の人ほど、良質な睡眠が必要なのです。
〈生きづらさを抱えるあなたへのヒント!〉
私もひどい夜型で睡眠障害気味。でも自由な時間は夜しかないし…
ゲームやSNS などにはまっている人は、朝早く起きてやる(見る)ことをおすすめします。“朝活”をはじめた途端、睡眠障害が解消した人もたくさんいます。朝日を浴びると、目に入る光の刺激が夜型リズムをリセットし、体を休息状態にしているメラトニンというホルモンの分泌を抑えることもポイントです。
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「マンガでよくわかる!発達障害の人が見ている世界」
著者岩瀬利郎(監修) ゆむい(マンガ)
発行所 株式会社アスコム
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岩瀬 利郎(いわせ・としお)
精神科医、博士(医学)。東京国際大学医療健康学部准教授。埼玉石心会病院精神科部長、武蔵の森病院院長、東京国際大学人間社会学部専任教授、同大学教育研究推進機構専任教授を経て現職。精神科専門医、睡眠専門医、臨床心理士・公認心理師。15万部を超えるベストセラーとなった『発達障害の人が見ている世界』(アスコム)他、『認知症になる48の悪い習慣 – ぼけずに楽しく長生きする方法』(ワニブックス)、『心理教科書 公認心理師 完全合格テキスト 第2版』(共著、翔泳社)など著作多数。「偉人たちの健康診断」(NHKBS)、「櫻井・有吉THE夜会」(TBS)、「ノンストップ!」(フジテレビ)など、メディア出演も数多い。
構成/DIME編集部