悪気なく失礼なことを言ったり、話を聞いていなかったり、集団行動が苦手だったり、喜怒哀楽の変化が激しかったり…発達障害の人とのコミュニケーションはときに難しいことがあります。そんなとき、本人たちは何を感じ、どんな世界を見ているのでしょうか?
精神科医の岩瀬利郎氏による15万部突破のベストセラーとなっている『発達障害の人が見ている世界』は発達障害の人と周りの人が見ている世界の違いを分かりやすく紹介し、特性を持つ子どもの親から、ビジネスパーソンまで、幅広い読者に支持されています。今回はそのマンガ版である『マンガでよくわかる! 発達障害の人が見ている世界』から一部を抜粋・編集し、発達障害への理解を深めるヒントを紹介します。
何かにハマると我を忘れてしまい、生活が荒れ放題に
応援する気持ちを見せ、本人の意見を取り入れながら妥協点を見つけ出そう
ASDのJさん(18歳・男性)は、寝食を忘れるほどにネットゲームにハマり込んでいて、慢性的な睡眠不足です。
“過集中”といえる状態で、ゲームをしているときが一番生きている実感があるといいます。定型発達の人であれば、「明日に差し障る」「さすがに食事はとらなきゃ」と考えてセーブしますが、Jさんには、今この瞬間しか見えていません。
何かに没頭する特性は強みにもなりますが、生活に支障をきたしてしまうようであれば、対応が必要な状態でしょう。
頭から否定せず、応援する姿勢を見せながら、日常生活を送れる範囲で“好き”と向き合う方法を一緒に考えます。一方的な提案ではなく、本人の意見を取り入れることが大切です。
また、第三者に協力してもらうことも手です。Jさんの例ならゲームの先輩など、本人がはまっている分野で尊敬を集めている人に、「ゲーム時間は自分でコントロールしよう」などと発信してもらえると、聞く耳を持つ可能性は高いはずです。
〈生きづらさを抱えるあなたへのヒント!〉
リモートワークで時間の感覚を失い、朝まで仕事を続けてしまう
雑音が少ないリモートワークは、集中力が高まる半面、時間を忘れてしまいがち。スマートフォンのアラーム機能を使ったり、時間がくるとテレビがついたり音楽が流れたりするよう設定し、強制的に現実に戻れる仕組みをつくりましょう。朝まで仕事をしてしまうと、実際には脳が働かず生産性が落ちてしまいます。
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「マンガでよくわかる!発達障害の人が見ている世界」
著者岩瀬利郎(監修) ゆむい(マンガ)
発行所 株式会社アスコム
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岩瀬 利郎(いわせ・としお)
精神科医、博士(医学)。東京国際大学医療健康学部准教授。埼玉石心会病院精神科部長、武蔵の森病院院長、東京国際大学人間社会学部専任教授、同大学教育研究推進機構専任教授を経て現職。精神科専門医、睡眠専門医、臨床心理士・公認心理師。15万部を超えるベストセラーとなった『発達障害の人が見ている世界』(アスコム)他、『認知症になる48の悪い習慣 – ぼけずに楽しく長生きする方法』(ワニブックス)、『心理教科書 公認心理師 完全合格テキスト 第2版』(共著、翔泳社)など著作多数。「偉人たちの健康診断」(NHKBS)、「櫻井・有吉THE夜会」(TBS)、「ノンストップ!」(フジテレビ)など、メディア出演も数多い。
構成/DIME編集部