悪気なく失礼なことを言ったり、話を聞いていなかったり、集団行動が苦手だったり、喜怒哀楽の変化が激しかったり…発達障害の人とのコミュニケーションはときに難しいことがあります。そんなとき、本人たちは何を感じ、どんな世界を見ているのでしょうか?
精神科医の岩瀬利郎氏による15万部突破のベストセラーとなっている『発達障害の人が見ている世界』は発達障害の人と周りの人が見ている世界の違いを分かりやすく紹介し、特性を持つ子どもの親から、ビジネスパーソンまで、幅広い読者に支持されています。今回はそのマンガ版である『マンガでよくわかる! 発達障害の人が見ている世界』から一部を抜粋・編集し、発達障害への理解を深めるヒントを紹介します。
やるべきことを〝後回し〟。ASDとADHDで異なる原因とは
同じ“後回し”でも、ASDとADHDでは原因と対応策が異なる
“やらなければいけないことを後回し”はASDとADHDに共通して見られがちですが、ASD の人は、“優先順位がつけられない”という特性によることが少なくありません。Oさん(30歳・女性)は複数の仕事が重なると、どれから手をつけていいかわからなくなります。一方、ADHDのDさん(25歳・男性)は、電話やメールが入ったりすると、注意散漫な特性から、ついそちらの処理に気をとられ、結局、重要案件のほうは時間切れに。
ASDの人には、「〜をいつまでに」と明示してあげましょう。
メールで送ったり、メモをとってもらったりして、後から本人が確認し直せるようにしておくと、「これは最重要」と意識に刷り込まれていきます。ADHD の人に対しては、気が散らない環境を用意してあげましょう。また、緊急の案件を頼むときは「邪魔が入らない作業室に行ったら?」などと声をかけてもいいですね。職場環境によっては完璧にはいかないと思いますが、できるだけ雑音の少ない環境へ誘導してあげてください。
〈生きづらさを抱えるあなたへのヒント!〉
仕事の優先順位を常に意識する、いい方法はありませんか?
ToDoリストを毎朝更新しましょう。最優先でやるべきことに◎。他の仕事は、締め切りが早いものから番号をふり、あらためてその順に並べ直します。これを目の前に貼り、終わった仕事にチェックをつけると達成感を味わえますし、毎朝リストを作ることで、仕事の優先順位が頭に浸透していきます。
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「マンガでよくわかる!発達障害の人が見ている世界」
著者岩瀬利郎(監修) ゆむい(マンガ)
発行所 株式会社アスコム
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岩瀬 利郎(いわせ・としお)
精神科医、博士(医学)。東京国際大学医療健康学部准教授。埼玉石心会病院精神科部長、武蔵の森病院院長、東京国際大学人間社会学部専任教授、同大学教育研究推進機構専任教授を経て現職。精神科専門医、睡眠専門医、臨床心理士・公認心理師。15万部を超えるベストセラーとなった『発達障害の人が見ている世界』(アスコム)他、『認知症になる48の悪い習慣 – ぼけずに楽しく長生きする方法』(ワニブックス)、『心理教科書 公認心理師 完全合格テキスト 第2版』(共著、翔泳社)など著作多数。「偉人たちの健康診断」(NHKBS)、「櫻井・有吉THE夜会」(TBS)、「ノンストップ!」(フジテレビ)など、メディア出演も数多い。
構成/DIME編集部