悪気なく失礼なことを言ったり、話を聞いていなかったり、集団行動が苦手だったり、喜怒哀楽の変化が激しかったり…発達障害の人とのコミュニケーションはときに難しいことがあります。そんなとき、本人たちは何を感じ、どんな世界を見ているのでしょうか?
無表情で、うれしいのか悲しいのか、わかりづらい
無表情の下には豊かな感情がある。気持ちを代弁して共感体験を重ねよう
ASDのKさん(12歳・女子)は、普段から無表情で、感情が表に出ません。先日も、学校で友達から仲間外れにされた話を淡々と話すので、さほど気にしていないように見えました。でも、よく聞いてみると、本心では深く傷ついていたようです。
ASDの人は、自分の感情をうまく表すことができず、悲しいのに「悲しい」という言葉が出てこなかったり、悲しそうな表情ができなかったりすることがあります。同様に、楽しいときも表情は乏しく、言葉数も少なめだったりします。
周囲の人は、こちらから気持ちを汲み取ってあげるようにしましょう。特に子どもの場合は、親御さんが「○○ちゃん、楽しいね!」「とっても悲しい。○○ちゃんもそうじゃない?」などと、多少大げさに気持ちを代弁してあげるといいですね。
そのときは小さくうなずくだけかもしれませんが、誰かと感情を共感する体験を重ねていけば、徐々に自分から感情を表すことができるようになるかもしれません。
〈生きづらさを抱えるあなたへのヒント!〉
無理に笑顔をつくったり、悲しい表情をして見せたほうがいいの?
「うれしい」「楽しい」「悲しい」という気持ちを、はっきりと言葉にしてみてはどうでしょうか。無表情で一本調子の声であっても、「うれしい」と言えば、その気持ちは伝わります。それが難しければ、メールなどの文章で伝える方法もあります。表情はコミュニケーションの重要な要素ですが、すべてではないのです。
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岩瀬 利郎(いわせ・としお)
精神科医、博士(医学)。東京国際大学医療健康学部准教授。埼玉石心会病院精神科部長、武蔵の森病院院長、東京国際大学人間社会学部専任教授、同大学教育研究推進機構専任教授を経て現職。精神科専門医、睡眠専門医、臨床心理士・公認心理師。15万部を超えるベストセラーとなった『発達障害の人が見ている世界』(アスコム)他、『認知症になる48の悪い習慣 – ぼけずに楽しく長生きする方法』(ワニブックス)、『心理教科書 公認心理師 完全合格テキスト 第2版』(共著、翔泳社)など著作多数。「偉人たちの健康診断」(NHKBS)、「櫻井・有吉THE夜会」(TBS)、「ノンストップ!」(フジテレビ)など、メディア出演も数多い。
構成/DIME編集部