悪気なく失礼なことを言ったり、話を聞いていなかったり、集団行動が苦手だったり、喜怒哀楽の変化が激しかったり…発達障害の人とのコミュニケーションはときに難しいことがあります。そんなとき、本人たちは何を感じ、どんな世界を見ているのでしょうか?
精神科医の岩瀬利郎氏による15万部突破のベストセラーとなっている『発達障害の人が見ている世界』は発達障害の人と周りの人が見ている世界の違いを分かりやすく紹介し、特性を持つ子どもの親から、ビジネスパーソンまで、幅広い読者に支持されています。今回はそのマンガ版である『マンガでよくわかる! 発達障害の人が見ている世界』から一部を抜粋・編集し、発達障害への理解を深めるヒントを紹介します。
初めてのことが苦手で強い不安を感じてしまう
大切なのは「説明」と「予告」。少しずつ「いつもと違う」に慣れていこう
ASDの人は、不安や恐怖などの感情に関わる脳の扁桃体が過敏になりやすい傾向があります。特にその特性が表れやすいのが、変化が起きたときです。新しくできた公園へ行ったASD のJ ちゃん(6 歳・女子)は、“知らない場所”への不安でいっぱい。話しかけるお母さんの姿も声も届いていません。
幼少期は特にその傾向が強く、違う道を行ったり、シーツを替えたりするだけで大騒ぎになることもあります。
初めての場所へ行くときは、「今度の週末は、こんなところに行くからね」。いつもと違う道を行くときは「今日は道路工事をしているから、違う道を通るよ」。このように、丁寧な説明とセットで、あらかじめ予告しておくことを忘れずに。
そして少しずつ「いつもと違う」に慣れる練習をしましょう。
食器を変える、いつも歩きなら自転車で行く。試してみてダメだったら、元に戻る選択肢も残しておいてください。焦って大きな変化を与えると、症状が悪化することもあるからです。
〈生きづらさを抱えるあなたへのヒント!〉
苦手なことが多い私。どうやって避けていけばいいのでしょう?
「飛行機は嫌い」「初対面の人とは食事をしたくない」などなど。自分が不安を感じるシチュエーションは、“私のNG リスト”として書き出して整理しておくとともに、親しい人には、ことあるごとに伝えておくとよいのではないでしょうか。誰にでも少なからず苦手はあるので、きっと理解してもらえるはずです。
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「マンガでよくわかる!発達障害の人が見ている世界」
著者岩瀬利郎(監修) ゆむい(マンガ)
発行所 株式会社アスコム
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岩瀬 利郎(いわせ・としお)
精神科医、博士(医学)。東京国際大学医療健康学部准教授。埼玉石心会病院精神科部長、武蔵の森病院院長、東京国際大学人間社会学部専任教授、同大学教育研究推進機構専任教授を経て現職。精神科専門医、睡眠専門医、臨床心理士・公認心理師。15万部を超えるベストセラーとなった『発達障害の人が見ている世界』(アスコム)他、『認知症になる48の悪い習慣 – ぼけずに楽しく長生きする方法』(ワニブックス)、『心理教科書 公認心理師 完全合格テキスト 第2版』(共著、翔泳社)など著作多数。「偉人たちの健康診断」(NHKBS)、「櫻井・有吉THE夜会」(TBS)、「ノンストップ!」(フジテレビ)など、メディア出演も数多い。
構成/DIME編集部