悪気なく失礼なことを言ったり、話を聞いていなかったり、集団行動が苦手だったり、喜怒哀楽の変化が激しかったり…発達障害の人とのコミュニケーションはときに難しいことがあります。そんなとき、本人たちは何を感じ、どんな世界を見ているのでしょうか?
精神科医の岩瀬利郎氏による15万部突破のベストセラーとなっている『発達障害の人が見ている世界』は発達障害の人と周りの人が見ている世界の違いを分かりやすく紹介し、特性を持つ子どもの親から、ビジネスパーソンまで、幅広い読者に支持されています。今回はそのマンガ版である『マンガでよくわかる! 発達障害の人が見ている世界』から一部を抜粋・編集し、発達障害への理解を深めるヒントを紹介します。
ささいなことで怒り出して止まらない
怒りを爆発させているときは応戦せず穏やかに受け流そう
ADHDの人の特性のひとつである感情の制御が苦手な面は、大人になっても引きずってしまうことがあります。
Rさん(30歳・女性)もそんな一人。コンビニの成人確認ボタンもファストフード店の接客も、店員はただマニュアル通りに接客しているだけです。多少イラッときても“普通そんなものだ”と理解できるでしょう。でもR さんは、“普通”がどんなものなのかがわからないので、イライラしてしまうのです。
つられて感情的になってしまうと、お互いに消耗するだけ。
対抗せずに、穏やかに受け止めることを心がけましょう。
あまりに怒りが激しい場合は、いったんやりすごすことも必要です。必要ならば、とりあえずお詫びの言葉を述べてもいいでしょう。そのうえで、後から時間をとり、もう一度話し合うのです。ADHDの人の怒りは、瞬間的に爆発しますが、そこまで長引かないことが多いので、あっさりと「こっちも悪かった」と言ってくれる場合も少なくありません。
〈生きづらさを抱えるあなたへのヒント!〉
店員のマニュアル的態度がとにかく癇に障る!どうしたらいいの?
無人レジや、飲食店の注文用タブレットにマニュアル的な対応をされても、別にイラつかないですよね? 店員さんもそれと同じだと思ってみましょう。ただただ接客マニュアルを忠実にこなしているだけなのです。「真面目なんだな」「頑張ってるなぁ」と視点を変えてみることで、感情をやりすごせるかもしれません。
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「マンガでよくわかる!発達障害の人が見ている世界」
著者岩瀬利郎(監修) ゆむい(マンガ)
発行所 株式会社アスコム
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岩瀬 利郎(いわせ・としお)
精神科医、博士(医学)。東京国際大学医療健康学部准教授。埼玉石心会病院精神科部長、武蔵の森病院院長、東京国際大学人間社会学部専任教授、同大学教育研究推進機構専任教授を経て現職。精神科専門医、睡眠専門医、臨床心理士・公認心理師。15万部を超えるベストセラーとなった『発達障害の人が見ている世界』(アスコム)他、『認知症になる48の悪い習慣 – ぼけずに楽しく長生きする方法』(ワニブックス)、『心理教科書 公認心理師 完全合格テキスト 第2版』(共著、翔泳社)など著作多数。「偉人たちの健康診断」(NHKBS)、「櫻井・有吉THE夜会」(TBS)、「ノンストップ!」(フジテレビ)など、メディア出演も数多い。
構成/DIME編集部