DIME MAGAZINE
悪気なく失礼なことを言ったり、話を聞いていなかったり、集団行動が苦手だったり、喜怒哀楽の変化が激しかったり…発達障害の人とのコミュニケーションはときに難しいことがあります。そんなとき、本人たちは何を感じ、どんな世界を見ているのでしょうか？
精神科医の岩瀬利郎氏による15万部突破のベストセラーとなっている『発達障害の人が見ている世界』は発達障害の人と周りの人が見ている世界の違いを分かりやすく紹介し、特性を持つ子どもの親から、ビジネスパーソンまで、幅広い読者に支持されています。今回はそのマンガ版である『マンガでよくわかる！ 発達障害の人が見ている世界』から一部を抜粋・編集し、発達障害への理解を深めるヒントを紹介します。
衝動的に怒ったり、笑ったり気分がコロコロ変わりやすい
気持ちを落ち着かせることを第一に、子どもの感情を理解しながら話し合う
診察室に入ってくるなり、ゲームをやりはじめたADHDのE君（12 歳・男子）は、お母さんがゲーム機を取り上げると、すごい勢いで怒り、騒ぎ出しました。
ADHDの人の衝動性は、感情や理性的な判断などを司る大脳皮質の働きの弱さが一因と考えられています。「豹変してる…」と思えてしまう感情の爆発も、脳が見せる世界の違いによるもの。特に子どもの場合は、特性が強く出ることがあります。
多くの場合、成長とともに落ち着いていきますが、わが子が極端に衝動的だと、親御さんは心配ですよね。特に、ささいなことで怒り、暴力的になってしまうようなら、対処が必要です。
まずは気持ちを落ち着かせることが第一。最初にすべきことは、その場から少し離すことです。それから、理由を尋ね、理解を示したうえで、「そういうときはこうしよう」と解決策を一緒に考えます。うまく感情をコントロールできたら必ず褒めてあげてください。その積み重ねが、本人の自信を育みます。
〈生きづらさを抱えるあなたへのヒント！〉
頭に血が上りやすい性格は、どうやって直せばいいの？
感情が爆発しそうになったら、ひと呼吸。「自分は今、怒っている」と認識する時間を設けましょう。その時間で、できるだけクールダウンするのです。ただ一方で、感情を完全に制御する必要もありません。周囲に迷惑をかけるレベルでない限り、喜怒哀楽の感情が豊かなことは、大切な個性でもあるのです。
★ ★ ★
「マンガでよくわかる!発達障害の人が見ている世界」
著者岩瀬利郎（監修） ゆむい（マンガ）
発行所 株式会社アスコム
【Amazonで購入する】
【楽天ブックスで購入する】
岩瀬 利郎（いわせ・としお）
精神科医、博士（医学）。東京国際大学医療健康学部准教授。埼玉石心会病院精神科部長、武蔵の森病院院長、東京国際大学人間社会学部専任教授、同大学教育研究推進機構専任教授を経て現職。精神科専門医、睡眠専門医、臨床心理士・公認心理師。15万部を超えるベストセラーとなった『発達障害の人が見ている世界』（アスコム）他、『認知症になる48の悪い習慣 – ぼけずに楽しく長生きする方法』（ワニブックス）、『心理教科書 公認心理師 完全合格テキスト 第2版』（共著、翔泳社）など著作多数。「偉人たちの健康診断」（NHKBS）、「櫻井･有吉THE夜会」（TBS）、「ノンストップ！」（フジテレビ）など、メディア出演も数多い。
構成／DIME編集部
最新号
