悪気なく失礼なことを言ったり、話を聞いていなかったり、集団行動が苦手だったり、喜怒哀楽の変化が激しかったり…発達障害の人とのコミュニケーションはときに難しいことがあります。そんなとき、本人たちは何を感じ、どんな世界を見ているのでしょうか?
精神科医の岩瀬利郎氏による15万部突破のベストセラーとなっている『発達障害の人が見ている世界』は発達障害の人と周りの人が見ている世界の違いを分かりやすく紹介し、特性を持つ子どもの親から、ビジネスパーソンまで、幅広い読者に支持されています。今回はそのマンガ版である『マンガでよくわかる! 発達障害の人が見ている世界』から一部を抜粋・編集し、発達障害への理解を深めるヒントを紹介します。
話の流れでわかるでしょ?が通用せず、何度も聞き返してくる
適当に、ちゃんと、自由に…あいまいな表現は理解されづらい
ASDの人は、言葉を字義通りに受け取ってしまう傾向があります。マンガのエピソードのように、先日も、ついASDのR君(12歳・男子)に、「話の流れでわかるだろう」という気持ちで話してしまい、困惑させてしまいました。
他にも、診察でASDの方に「最近いかがですか?」と聞くと、「何が?」と聞き返されてしまうことがあります。「適当に」「ちゃんと」「自由に」といった言葉も混乱させてしまいがちです。
たとえば、ASDのお子さんが病院で騒いでいるとき、「いいかげんにしなさい! もっとちゃんとして!」などと言っても、具体的に何をどうしたらいいのかわからないことがあります。
「お部屋で先生が話をしているから、大きな声で話すと聞こえなくて困っちゃうよ。おしゃべりなしで座っていようね」といった具合に、具体的に順序だてて伝えることで、理解を促すことができます。抽象的な表現は使わず、「いつ、誰が、何を、どうする」を明確にすることを、会話では常に意識してみましょう。
〈生きづらさを抱えるあなたへのヒント!〉
子どもへの伝え方のコツを教えてください
とにかく具体的に、要点をまとめて伝えましょう。「あれ」「それ」といった指示語や省略も苦手です。「国語やった?」ではなく「今日の国語の宿題やった?」です。片付けてほしい場合などは、片付いている写真や絵を見せるのも◎。そのうえで「散らばってるオモチャは箱にしまおうね」と、明確に伝えましょう。
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「マンガでよくわかる!発達障害の人が見ている世界」
著者岩瀬利郎(監修) ゆむい(マンガ)
発行所 株式会社アスコム
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岩瀬 利郎(いわせ・としお)
精神科医、博士(医学)。東京国際大学医療健康学部准教授。埼玉石心会病院精神科部長、武蔵の森病院院長、東京国際大学人間社会学部専任教授、同大学教育研究推進機構専任教授を経て現職。精神科専門医、睡眠専門医、臨床心理士・公認心理師。15万部を超えるベストセラーとなった『発達障害の人が見ている世界』(アスコム)他、『認知症になる48の悪い習慣 – ぼけずに楽しく長生きする方法』(ワニブックス)、『心理教科書 公認心理師 完全合格テキスト 第2版』(共著、翔泳社)など著作多数。「偉人たちの健康診断」(NHKBS)、「櫻井・有吉THE夜会」(TBS)、「ノンストップ!」(フジテレビ)など、メディア出演も数多い。
構成/DIME編集部