悪気なく失礼なことを言ったり、話を聞いていなかったり、集団行動が苦手だったり、喜怒哀楽の変化が激しかったり…発達障害の人とのコミュニケーションはときに難しいことがあります。そんなとき、本人たちは何を感じ、どんな世界を見ているのでしょうか?
精神科医の岩瀬利郎氏による15万部突破のベストセラーとなっている『発達障害の人が見ている世界』は発達障害の人と周りの人が見ている世界の違いを分かりやすく紹介し、特性を持つ子どもの親から、ビジネスパーソンまで、幅広い読者に支持されています。今回はそのマンガ版である『マンガでよくわかる! 発達障害の人が見ている世界』から一部を抜粋・編集し、発達障害への理解を深めるヒントを紹介します。
人が話をしているのに上の空で全然聞いていない
本人の努力では解決できないことも。怒らず、あせらず、好きなものに結びつけて
ADHDのMちゃん(8歳・女子)は、お母さんと話をしていると、唐突にまったく別の話をはじめてしまうことがあります。特に、授業の話をしているときにその傾向が強いのだとか。
また、ASDのS君(9歳・男子)は、ご両親と話しているとき、ただぼーっとしていることが多いそうです。学校からも、話を聞いていないことが多いと連絡があったといいます。
ADHDの人の集中力が続かないのも、ASDの人が自分の世界に入り込んでしまうのも、非常に多く見られる症例です。
まず、どちらも脳の特性によるため、本人の努力では解決できないことが多いということを理解してください。
そのうえで、どうしても聞いてほしい話は、怒らず、あせらず、本人の興味のある事柄と結びつけてみましょう。
また私は、大人の発達障害の方には「あなたは会話中にぼーっとしたり、無関係な話をしたりしがちなので、そこは意識しておきましょう」と率直に話し、自覚を促すようにしています。
〈生きづらさを抱えるあなたへのヒント!〉
好きな電車の話ばかりしたがるうちの子、どうしたらいいの?
自分の好きな世界にばかり固執してしまうのは、そこが一番安心していられる世界だからです。だから、強引にこっちの世界に引きずり出すのではなく、まず時間をかけてお子さんの好きな電車の世界の話を聞いてあげてください。そうしたら、少し、外の世界をのぞく勇気が出てくるかもしれません。
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「マンガでよくわかる!発達障害の人が見ている世界」
著者岩瀬利郎(監修) ゆむい(マンガ)
発行所 株式会社アスコム
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岩瀬 利郎(いわせ・としお)
精神科医、博士(医学)。東京国際大学医療健康学部准教授。埼玉石心会病院精神科部長、武蔵の森病院院長、東京国際大学人間社会学部専任教授、同大学教育研究推進機構専任教授を経て現職。精神科専門医、睡眠専門医、臨床心理士・公認心理師。15万部を超えるベストセラーとなった『発達障害の人が見ている世界』(アスコム)他、『認知症になる48の悪い習慣 – ぼけずに楽しく長生きする方法』(ワニブックス)、『心理教科書 公認心理師 完全合格テキスト 第2版』(共著、翔泳社)など著作多数。「偉人たちの健康診断」(NHKBS)、「櫻井・有吉THE夜会」(TBS)、「ノンストップ!」(フジテレビ)など、メディア出演も数多い。
構成/DIME編集部