悪気なく失礼なことを言ったり、話を聞いていなかったり、集団行動が苦手だったり、喜怒哀楽の変化が激しかったり…発達障害の人とのコミュニケーションはときに難しいことがあります。そんなとき、本人たちは何を感じ、どんな世界を見ているのでしょうか?
精神科医の岩瀬利郎氏による15万部突破のベストセラーとなっている『発達障害の人が見ている世界』は発達障害の人と周りの人が見ている世界の違いを分かりやすく紹介し、特性を持つ子どもの親から、ビジネスパーソンまで、幅広い読者に支持されています。今回はそのマンガ版である『マンガでよくわかる! 発達障害の人が見ている世界』から一部を抜粋・編集し、発達障害への理解を深めるヒントを紹介します。
表情、声のトーン、仕草などを読み取ることが苦手
「わかってくれるよね?」がわからないことも。言い方に配慮し、気持ちを率直に伝えよう
酒屋を営むASDのGさん(32歳・男性)は、繁忙期になると、近所の友人にたびたび無償で手伝ってもらっていました。
先日も「また手伝ってくれる?」と声をかけたら、「別にいいけど…」という返事だったのに、後から、「こっちの都合も考えてほしい」と言われ、驚いたそうです。
おそらく友人も断りにくく、「わかってくれ」という思いを表情や声に込めたのでしょうが、Gさんには伝わりませんでした。
会話によるコミュニケーションは、約2割が言葉の情報で、残りの約8割はメタメッセージによるものと言われています。
発達障害の人との会話では、そこを読み取る力が弱いことが齟齬の生じる原因となることがあります。
何かを伝えるときは、言いづらいことも、キツくなりすぎないよう配慮しつつ、ちゃんと言葉にすることが大切です。
まず「結論」を話し、「理由」を丁寧に伝え、「要望」があれば添えるようにしましょう。
〈生きづらさを抱えるあなたへのヒント!〉 なぜ人は、はっきりモノを言わないの?
言葉では言いづらいことを、表情や声の調子で伝えることはよくあります。あなたがそれを人との関わりの中で学んでいけるなら、それがベストです。でも、どうしてもダメなら、「私には言いたいことをはっきり言って。そうしないとわからないから」と伝えてみてください。案外、すんなり納得してくれると思いますよ。
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「マンガでよくわかる!発達障害の人が見ている世界」
著者岩瀬利郎(監修) ゆむい(マンガ)
発行所 株式会社アスコム
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岩瀬 利郎(いわせ・としお)
精神科医、博士(医学)。東京国際大学医療健康学部准教授。埼玉石心会病院精神科部長、武蔵の森病院院長、東京国際大学人間社会学部専任教授、同大学教育研究推進機構専任教授を経て現職。精神科専門医、睡眠専門医、臨床心理士・公認心理師。15万部を超えるベストセラーとなった『発達障害の人が見ている世界』(アスコム)他、『認知症になる48の悪い習慣 – ぼけずに楽しく長生きする方法』(ワニブックス)、『心理教科書 公認心理師 完全合格テキスト 第2版』(共著、翔泳社)など著作多数。「偉人たちの健康診断」(NHKBS)、「櫻井・有吉THE夜会」(TBS)、「ノンストップ!」(フジテレビ)など、メディア出演も数多い。
構成/DIME編集部