「氏」は戸籍筆頭者が届け出
対象者が能動的に振り仮名を届け出る場合、市区町村窓口(本籍地または住所地等)での届け出、郵送による届け出、そしてマイナポータルを使ったオンラインでの届け出も可能としている。
注意したいのは、「名については各人が届け出ることができるが、氏については原則として戸籍の筆頭者が届け出をする」という点。
たとえば「高田一郎たかだ・いちろう」さんとその息子の「高田太郎たかだ・たろう」さんの場合、太郎さんは自身の名である「たろう」を自分で届け出ることができるが、「たかだ」については基本的に父親である一郎さんが決定するというルールである。
「一般に認められているものでない読み方」とは?
が、筆者が特に知りたいのは「最終チェックの方法」である。
通知や届け出を経て、本当に「澤田真一」を「さわだ・まさかず」として登録できたのか確認しなければならない。これについては、法務省公式サイトからは明確な答えは確認できなかった。
また、「よくあるご質問」の回答にはこうある。
この際、氏名の振り仮名について、氏名の読み方として一般に認められているものでない読み方を用いている場合は、「読み方が通用していることを証する書面」として、当該読み方が使われていることを示す資料(パスポート、預貯金通帳、健康保険証等)を併せてご提出いただくことになります。
(法務省公式サイトより)
こ、これは実に曖昧な回答だ! 「真一」と書いて「まさかず」は「一般に認められているものでない読み方」になってしまうのか!?
ただ、この部分はよく読んでみると法務省が例を挙げている。「高」を「ひくし」、「太郎」を「じろう、さぶろう」、または「太郎」を「ジョージ、マイケル」などと読む例である。それに比べたら、「真一=まさかず」はまだ「一般に認められている名前」のはず。
振り仮名登録の大きな意義
振り仮名登録の義務化は、行政の効率化・DX化を進める上で避けて通れない過程であることはここで明言しておきたい。
「中島」という名前が「なかじま」なのか「なかしま」なのか(筆者の高校時代の先輩に“なかしま”さんがいた)、「剛」が「たけし」なのか「つよし」なのか「ごう」なのかを戸籍で判別できなければ、人名検索にも支障が出てしまう。そうした点を明確化する作業は、遅かれ早かれ避けて通れない道だったのだ。
問題は、国の広報である。振り仮名登録までの一連の流れを分かりやすく、広く国民に伝達できるか否かが、日本史上最大級の事業の進捗状況を左右するだろう。
【参考】
戸籍に振り仮名が記載されます-法務省公式サイト
「キラキラネーム」来年から規制? 改正戸籍法で新たに「基準」 氏名の振り仮名を巡りトラブル多発の予感-東京新聞
取材・文/澤田真一