悪気なく失礼なことを言ったり、話を聞いていなかったり、集団行動が苦手だったり、喜怒哀楽の変化が激しかったり…発達障害の人とのコミュニケーションはときに難しいことがあります。そんなとき、本人たちは何を感じ、どんな世界を見ているのでしょうか?
精神科医の岩瀬利郎氏による15万部突破のベストセラーとなった『発達障害の人が見ている世界』は発達障害の人と周りの人が見ている世界の違いを分かりやすく紹介し、特性を持つ子どもの親から、ビジネスパーソンまで、幅広い読者に支持されています。今回はそのマンガ版である『マンガでよくわかる! 発達障害の人が見ている世界』から一部を抜粋・編集し、発達障害への理解を深めるヒントを紹介します。
あんなに約束したのになんで!?大事な約束もすっぽかす理由
“努力”よりも、便利な道具に頼ろう。スマートフォンで忘れない“仕組み”をつくる
優先順位づけが苦手というのは、発達障害の人がしばしば抱える悩みです。ADHDの会社員Tさん(30歳・女性)も、大事な資料作りや得意先への訪問、会議などの約束を忘れてしまうことが重なり、ついには上司から注意を受けてしまいました。
しかし、スマートフォンの充実した機能を使いこなすことで、トラブルを減らせたという患者さんはたくさんいます。
超重要な予定は色を変えたり、前日にリマインドしたりするなどの仕組みをつくれば、混乱した頭の中で解決しようとするより、はるかに困りごとの解決につながりやすくなります。
周りの人は、本人がスマートフォンに入力するのを確認するとともに、「これは特に重要な約束だから」とメモを渡すのも有効です。そうして約束の重要性を視覚的にも伝え、時間が近づいたら声をかけるなど、それとなく意識してあげると安心。
お子さんの場合も、スマートフォンや腕時計のアラーム機能などを活用するとよいですね。
〈生きづらさを抱えるあなたへのヒント!〉
ちゃんと意識するだけで、大事な約束は守れるものなの?
他のことをやっているうちに、つい大切なことが抜け落ちてしまうことは、誰しもあることです。ただそれが脳機能の特性である場合、意識“だけ”で改善するのは難しいことがあります。「全部忘れず、全部守る!」と無理をせず、スマートフォンを使って重要な約束を思い出す仕組みをつくりましょう。
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「マンガでよくわかる!発達障害の人が見ている世界」
著者岩瀬利郎(監修) ゆむい(マンガ)
発行所 株式会社アスコム
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岩瀬 利郎(いわせ・としお)
精神科医、博士(医学)。東京国際大学医療健康学部准教授。埼玉石心会病院精神科部長、武蔵の森病院院長、東京国際大学人間社会学部専任教授、同大学教育研究推進機構専任教授を経て現職。精神科専門医、睡眠専門医、臨床心理士・公認心理師。15万部を超えるベストセラーとなった『発達障害の人が見ている世界』(アスコム)他、『認知症になる48の悪い習慣 – ぼけずに楽しく長生きする方法』(ワニブックス)、『心理教科書 公認心理師 完全合格テキスト 第2版』(共著、翔泳社)など著作多数。「偉人たちの健康診断」(NHKBS)、「櫻井・有吉THE夜会」(TBS)、「ノンストップ!」(フジテレビ)など、メディア出演も数多い。
構成/DIME編集部