悪気なく失礼なことを言ったり、話を聞いていなかったり、集団行動が苦手だったり、喜怒哀楽の変化が激しかったり…発達障害の人とのコミュニケーションはときに難しいことがあります。そんなとき、本人たちは何を感じ、どんな世界を見ているのでしょうか?
精神科医の岩瀬利郎氏による15万部突破のベストセラーとなっている『発達障害の人が見ている世界』は発達障害の人と周りの人が見ている世界の違いを分かりやすく紹介し、特性を持つ子どもの親から、ビジネスパーソンまで、幅広い読者に支持されています。今回はそのマンガ版である『マンガでよくわかる! 発達障害の人が見ている世界』から一部を抜粋・編集し、発達障害への理解を深めるヒントを紹介します。
皮肉も社交辞令も通じず言葉をそのまま受け取ってしまう
“普通はわかる”は通用しないことも!ストレートに、意味通りの言葉で伝えよう
ASDのKさん(26 歳・女性)は、先輩の皮肉に気づかず、言葉通りに受け止めてしまい、先輩を怒らせてしまいました。
ASDの人は、相手の表情や声のトーンから「これは本当の意味ではないな」と察するのが苦手なことがあります。
社交辞令やリップサービスを真に受けたり、暗黙のルールがわからなかったりすることも少なくありせん。
ですから、発達障害の人に対しては、伝えたいことは意味通りの言葉でストレートに伝えることが大切です。
もしイラッとしてしまうようなら、発達障害の人は定型発達の人とは感覚が少し違う、ということを改めて意識してみてください。たとえば、日本では「粗茶ですがどうぞ」と言ったりしますが、文化的な背景が異なる外国の方には、自然とそうした表現を控えるのではないでしょうか。
このように、“違う文化の人なんだ”と考えて接するのも、発達障害の人と付き合うひとつの手です。
〈生きづらさを抱えるあなたへのヒント!〉
なぜ本心と違うことを言うの?その理由がわかりません
遠まわしな表現で気づきを促したり、お世辞や社交辞令を言ったりすることで、私たちは人間関係を維持しています。それは生きるための知恵。でも、あまりに苦しければ、「できるだけストレートに言って」と周りに頼んでみましょう。環境が許せば「発達障害の傾向があるかもしれないから」と添えてもよいでしょう。
★ ★ ★
「マンガでよくわかる!発達障害の人が見ている世界」
著者岩瀬利郎(監修) ゆむい(マンガ)
発行所 株式会社アスコム
【Amazonで購入する】
【楽天ブックスで購入する】
岩瀬 利郎(いわせ・としお)
精神科医、博士(医学)。東京国際大学医療健康学部准教授。埼玉石心会病院精神科部長、武蔵の森病院院長、東京国際大学人間社会学部専任教授、同大学教育研究推進機構専任教授を経て現職。精神科専門医、睡眠専門医、臨床心理士・公認心理師。15万部を超えるベストセラーとなった『発達障害の人が見ている世界』(アスコム)他、『認知症になる48の悪い習慣 – ぼけずに楽しく長生きする方法』(ワニブックス)、『心理教科書 公認心理師 完全合格テキスト 第2版』(共著、翔泳社)など著作多数。「偉人たちの健康診断」(NHKBS)、「櫻井・有吉THE夜会」(TBS)、「ノンストップ!」(フジテレビ)など、メディア出演も数多い。
構成/DIME編集部