悪気なく失礼なことを言ったり、話を聞いていなかったり、集団行動が苦手だったり、喜怒哀楽の変化が激しかったり…発達障害の人とのコミュニケーションはときに難しいことがあります。そんなとき、本人たちは何を感じ、どんな世界を見ているのでしょうか?
精神科医の岩瀬利郎氏による15万部突破のベストセラーとなっている『発達障害の人が見ている世界』は発達障害の人と周りの人が見ている世界の違いを分かりやすく紹介し、特性を持つ子どもの親から、ビジネスパーソンまで、幅広い読者に支持されています。今回はそのマンガ版である『マンガでよくわかる! 発達障害の人が見ている世界』から一部を抜粋・編集し、発達障害への理解を深めるヒントを紹介します。
人の話を黙って聞いていられずソワソワ、ウロウロ、ペチャクチャ
目から入る情報のほうが伝わりやすいため、絵や文字を見せながら話しかける工夫を
ADHDのDちゃん(9歳・女子) は、いつどこへ連れていってもじっとしていられません。人の話を聞かずにしゃべり続けたり、動き回ったりしてしまいます。
このときも、診察室に入ってくるや、棚に置いてあったぬいぐるみを見つけてかけ寄り、手にとって大きな声で話しかけはじめました。そのとき、私やお母さんは、D ちゃんの視界から消えていますし、もちろん会話などは成立しません。
注意散漫と多動性はADHDの代表的な特性であり、特にお子さんの場合は、その傾向がとても強く出ることがあります。
また発達障害の人は、聴覚情報が苦手で、耳から入る言葉だけでは理解しづらいことがあります。集中してほしいときは、紙に描いた絵や文字を見せながら話しかけてみてください。
たとえば、「座りなさい!」と強く言うより、座っている子の絵と「すわる」と書いた紙を用意しておいて見せたり、簡単な絵や文字を書いて見せながら話したりしてみましょう。
〈生きづらさを抱えるあなたへのヒント!〉
じっとしていられないわが子に、ついイライラしてしまいます
集中できない特性は、本人の努力ではどうにもならないことがあります。そこで感情的に叱ったりすると、余計に落ち着きがなくなってしまうことも。冷静に向き合い、穏やかに言い聞かせましょう。オモチャが散らかっているなど、興味の対象が多いほど気が散ってしまうので、部屋をすっきりさせることも大切です。
★ ★ ★
「マンガでよくわかる!発達障害の人が見ている世界」
著者岩瀬利郎(監修) ゆむい(マンガ)
発行所 株式会社アスコム
【Amazonで購入する】
【楽天ブックスで購入する】
岩瀬 利郎(いわせ・としお)
精神科医、博士(医学)。東京国際大学医療健康学部准教授。埼玉石心会病院精神科部長、武蔵の森病院院長、東京国際大学人間社会学部専任教授、同大学教育研究推進機構専任教授を経て現職。精神科専門医、睡眠専門医、臨床心理士・公認心理師。15万部を超えるベストセラーとなった『発達障害の人が見ている世界』(アスコム)他、『認知症になる48の悪い習慣 – ぼけずに楽しく長生きする方法』(ワニブックス)、『心理教科書 公認心理師 完全合格テキスト 第2版』(共著、翔泳社)など著作多数。「偉人たちの健康診断」(NHKBS)、「櫻井・有吉THE夜会」(TBS)、「ノンストップ!」(フジテレビ)など、メディア出演も数多い。
構成/DIME編集部