念願の野生のドリアンと初対面!
表皮が固いのでドリアンナイフが必須
ドリアンを素手で割っている!
とげがあるため通常は軍手をしてドリアンを扱う
まずは2つ選んで割ってもらった。ドリアンは食べる時に店の人がナタで割って切り込みを入れてくれる。客が食べやすいようにして供されるのだ。表皮にとげがあるので通常は軍手をして作業をするのだが、この屋台の男性はほぼ素手で扱っていてちょっとびっくりした。ドリアンのとげは硬く鋭利なので、食べているときにうっかり触ると手や指が切れて血が出たりするほどなのに。
真っ白でピンポン玉の形のカンポンドリアン
繊維質が多めなのが食べる前からわかる
カンポンドリアンはいつもの見慣れた黄色味が強い小さめのバナナのような形ではなく白くてピンポン玉ぐらいのサイズで種がやたら大きかった。口に入れると繊維質が多く水っぽく、そしてなめらかさのない粗野な甘さがあった。屋台の男性は筆者たちが食べているすぐそばで興味なさそうにただタバコをふかしていた。時折り「まだ食べるか?」といった感じで戻ってくるので「まだ食べる」の意味でドリアンを指差すと割ってくれた。
屋台では名産の臭豆(ペタイ)も売られている
可食部がさらに少ないことや全く風味のない固い繊維質の部分は食べられなかったのもあるが、結局2人で10個を食べて25リンギット(828円)を現金で支払った。この日ばかりは王様ではなく庶民の果物だった。
野生のドリアンに出会えた喜びから夢中で食べたのだが、美味しかったかと問われると冷静に考えれば微妙だったような気もする。わざわざ食べに行った、安いなどの条件に左右された面も大きかったかもしれない。ただし飼い慣らされていない野生の味がカンポンドリアンからはっきりと感じられた。上品でクリーミーではないがジャングルの土が香るような味だったのが印象的だった。
屋台の裏の崖にあった“手洗い場”
それにしてもジャングルの山奥で最初にこれを食べようと思った人はかなりのチャレンジャーだといつも思う。
「ドリアンは食べられない!」という場合の決め台詞
ドリアン銀座と呼ばれる地域には常設店舗もある
余談になるが出張でマレーシアを訪れると旬であればクライアントや得意先などから接待などでドリアン屋台に連れていかれることがあるかもしれない。さらに相手がドリアン好きだった場合「会社の経費で極上のドリアンが食べられる!」ということが多いためテンションは高めだ。本当に無理となった際の断り文句に「さっきビール(もしくは炭酸系ドリンク)飲んでしまったので」と言うとよいかもしれない。諸説あるが食べ合わせとして一般的によくないとされているのでなんとか通りそう気がする。
取材・文/逗子マリナ
マレーシア在住フリーランスライター(海外書き人クラブ)。海外在住歴はアメリカ3年半、オーストラリア4年。2016年からはマレーシア在住。日本のメディア・企業向けにリサーチ、現地情報収集、観光情報、国際展示会等の取材で幅広く活動中。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ 」会員