「進次郎構文」とは、衆議院議員の小泉進次郎さんの独特な言い回しを揶揄(やゆ)したネットミームのひとつ。意味が冗長で繰り返しの多い彼の表現は、多くのネット民の心を揺さぶりました。今回はそのような彼の迷言(?)のひとつである「今のままではいけないと思います。だからこそ、日本は今のままではいけないと思っています」を英訳してみます。
今のままではいけないと思います。だからこそ、日本は今のままではいけないと思っています」を英訳すると?
I think we can’t stay as is. That’s why I think Japan can’t stay as is.
今のままではいけないと思います。だからこそ、日本は今のままではいけないと思っています。
「今のままではいけないと思います。だからこそ、日本は今のままではいけないと思っています」は2019年9月に発言された代表的な進次郎構文の一つです。
『今のまま』という言葉は、英語で『as is』と表現します。英語の勉強において幅広い使われ方によってつまずきやすい語句のひとつとして『as』が挙げられます。実は『as』の語源は、『so』を副詞の『all』で強めた 『also』の縮約形です。そのため、おのずと『so』の意味も果たすことになり、『as』が持つ意味は幅広くなって英語学習者の頭を悩ます語句となってしまったのです。
話は『as is』に戻りますが、ビジネスでも『as is』が応用されていることはご存知でしょうか? 現状の姿を示すビジネス用語として『As-Is』があります。また、その反対語としてあるべき姿といった意味を示す『To-Be』というビジネス用語があります。
そして『だからこそ』という言葉は、英語で一般的には『That’s why』と表現されます。より強調したい時には『That’s exactly』『That’s especially』といった表現が用いられます。『exactly』には『その通り・ぴったり』、『especially』には『特に』といった意味があります。
名スピーチの鉄則は『表現の繰り返し』にあるが…
英語の名スピーチは大事な箇所を繰り返し、かつシンプルな表現である点が特徴的といえます。例えばスティーブ・ジョブズの有名な言葉“Stay hungry. Stay foolish.”が挙げられるでしょう。
進次郎氏のフレーズも『can’t stay as is』を繰り返す表現であるものの、自身の思いを示す『I think』という表現によってジョブズのそれよりも潔さを感じられず、英文としてもややまどろっこしいニュアンスになってしまいます。時として人は自信のなさから冗長な表現をしがちです。
進次郎氏の発言は英語にしても、しっかりと「進次郎構文」ならではのニュアンスが伝わってしまうということがわかりました。
文/柴 萌子
大学で英語を学び、出版社や広告代理店、証券会社メディアで編集・執筆してきました。英語翻訳、WEBコンテンツの企画やマーケティングも手掛けるほか、現在は経営や金融を中心にエンタメなど幅広いジャンルの記事を執筆しています。豊富な実務経験を背景に、英語コラム執筆においても説得力と深みのある視点を提供します。