DIME本誌で大人気の「次の流行まるわかりTREND WATCHING」ではペット業界のトレンドを解説した。「右肩上がりの“溺愛消費”でペット産業は新規参入ラッシュ」として、調査会社インテージの市場アナリスト木地利光氏による、最新のペット業界の動向などが紹介されている。
事例のひとつとして紹介されたのが、製紙大手の大王製紙(本社東京都千代田区、代表若林賴房氏)で、エリエールブランドに新しくペット用品を投入。「エリエールPet キミおもい」としてアクティブウェア(ワンちゃん用おむつ)やペットシート、ウエットシートなどを新発売した。これら商品は、動物行動学の視点を取り入れた研究・開発を踏まえて商品化している点が、従来の商品とは大きく異なっている。
大王製紙 ホーム&パーソナルケア部門 ペットケア事業本部 マーケティング部 髙間一晃さんによると、ペットは顔の表情、ボディランゲージなど行動で私たちに気持ちを伝えていると言う。「行動やサインが何を意味するかは、科学的根拠に基づく研究で解明されており、動物行動学と呼ばれています。
一歩進んだ飼育「傾聴飼育」が新しいキーワードに
今回発売した商品は、この動物行動学の視点を取り入れて、徹底的にペットの気持ちに寄り添った商品としています。
例えばペットシーツでいえば、ワンちゃんがお外でトイレをするときとおうちでトイレをするときではそのしぐさや表情に違いがあることに着目しました。その違いから、おそらくワンちゃんにとってはおうちのなかのトイレはお外に比べて気持ち良くないのでは?という仮説を立て、北里大学と共同で商品を作り上げて行きました」。
こうしたペットの気持ちに寄り添った商品開発を進めていくと同時に、飼い主にも一歩進んだ「傾聴飼育」を提唱している。
「ペットの発するサインをよく観察し、その本当の意味を理解しながら飼育するという考え方が傾聴飼育です。私たちはこの傾聴飼育が、ペットとオーナーさんとの両方の幸せのために、重要なキーワードとなってくると考えています」(髙間さん)。
大王製紙が独自に行った調査によると、9割の飼い主が今よりもペットの気持ちや想いを知りたいと考えていること。その一方で、飼い主の4割以上がペットの行動の意味や習性を理解できているとは言いきれないと考えている実状が明らかになった。
行動や習性からペットの気持ちや想いを読み解く学問が動物行動学である。動物がその動物らしく生きているか、肉体的、精神的にも健康で幸せな状態は何かを探る学問で、動物行動学への知識を深め、ペットからのサインを読み解き、絆を深める飼育が傾聴飼育である。
動物行動学が専門の獣医師の藤井仁美先生は、「エリエールPet キミおもい」のブランドソング完成記念イベントで、傾聴飼育の重要性について解説してくれた。
藤井先生によると、「ペットの気持ちの知るためにはいくつかのポイントがあります」と言う。「まずはペットの行動をよく観察すること。そして、ペットに関する知識を勉強して、行動から気持ちを読みとることが大事です。
犬猫は、文字が読めませんし、人間の言葉もしゃべれません。わかってあげられるのは飼主さんだけで、ペットは顔の表情、ボディランゲージなど、行動で気持ちを伝えています。
行動やサインが何を意味するかは、科学的根拠に基づく研究から明らかになっています。これは動物行動学と呼ばれるもので、その行動が何を意味していてどんな結果につながるのかを知る学問です。ワンちゃんだとしっぽを振ったらうれしい、という感じですね。
一般的にペットのお世話をしたり、散歩に行ったり、飼い主さんと遊ぶことが飼育と言われています。今後はそれに加えてペットの行動が何を意味しているのか、彼らはどんな気持ちで何を考えているかを読み解く、傾聴飼育が大切になると思います」と解説してくれた。
傾聴飼育実践のポイント
髙間さんによると、傾聴飼育実践のポイントは3つあると言う。まずは1)ペットの生態や行動について学ぶこと、そして2)ペットからのサインを飼い主さんがしっかり観察すること。その上で、3)そのサインの意味を考えて接することだと言う。
「傾聴飼育によってブランドのテーマでもある『キミにやさしい、一緒にうれしい。』を実現することで、ペットとオーナーとの共生社会の充実につなげることを目指しています。今後も傾聴飼育の考え方と実践方法を広く伝えるための活動を行っていきます」としている。
飼育から一歩進んだ傾聴飼育へ。ペットとの関係をより深める傾聴飼育が、これからのキーワードになりそう。
絢香さんのcmソング「ずっとキミと」こちら
https://www.elleair.jp/kimiomoi/morehappy/#brandsong
文/柿川鮎子
DIME8月号、次の流行まるわかりTREND WATCHINGでは、大王製紙の他に、異業種参入したエレコム、スクウェア・エニックス、PayPay保険なども紹介している