2024年~2025年の米国景気は?
米国景気が悪化し、米国株が下がれば、日本株は下がり、為替も円高になる可能性が高い。今のところ、大きく米国景気が悪化する兆しはみえないと考えるが、その前に米国金利の利下げにより、日米金利差が縮小し、今の円安水準から円高になる可能性がある。そうなれば、やはり日本株も下がる可能性が高い。
FRBが利下げするかどうかは、景気と物価で判断される。
8月の米製造業景況感指数は、前月から1.2ポイント上昇して、47.6となった。しかしながら、好景気か不景気かの節目50を10か月連続で下回った。そして、労働状況については少し悪化の数字が見え始めてきている。
■米失業保険申請件数
■米失業保険の継続受給者数
米失業保険申請件数は失業者の増加を示す経済指標だ。米失業保険申請者件数だけみると、年初から増加してきてはいるものの、2023年の最も多い時ほど上昇していない。しかしながら、失業者が継続して失業保険を受給している人数を見ると、なだらかに伸びてきており、失業した人が引き続き職につけていないことがわかる。
上記、景気を表す指標とあわせて、FRBが金融政策を決定するうえで最も重視している米個人消費支出(PCE)コア価格指数は、ここ2か月年率換算で2.1%となっており、FRBが目標とする物価目標2%とほぼ同じとなっている。これまで、PCEが6%と高いインフレが続き、インフレを抑制するためFRBは利上げを続けていた。2023年後半物価は目標の2%に近い数字となったが、2024年前半に再び上昇した。5月になってやっと目標の2%を達成できるようだ。
■FRBが利下げするかどうかのポイント
(1)物価が目標の2%に落ち着いている
(3)雇用状況の悪化
近いところで、9月17、18日にFOMCがあり、そこで米国金利の利下げが行われる可能性が高い。このときのFOMCで利下げされることはすでに予想されていることであり、そこまで市場は反応しないかもしれない。しかし、今後のさらなる利下げの示唆があれば大きく円高になり、日本株安につながる恐れはある。さらに、2025年以降は米国景気が本格的に悪化すれば日本株も同じく米国株と同様大きく下がる可能性がある。
日経新聞2023年9月2日「8月の米製造業景況感、10か月連続『不況』 生産は改善」
FRB重視のインフレ指標、迫る利下げを裏付けへ-消費支出も堅調か – Bloomberg
※本稿は資産運用の結果を保障するものではございません。自己責任での運用をお願いいたします。
文/大堀貴子