ヘッジファンドの実績は?
今回販売開始された『SBI-Manリキッド・トレンド・ファンド』は8月16日に販売開始されたばかりであるため、まだあまり実績がない。同じファンドではなくあくまで参考程度にしかならないが、以下は米ドル建てマン・VⅢ ICAV・AHL・ダイバーシファイド・DNの10年、30年チャートである。
■10年チャート
(参考)Man Funds VIII ICAV Man AHL Diversified DN USD、IE0000360275:USDサマリー – FT.com
2020年は、新型コロナ感染症拡大により、大幅にNYダウが高値の29,568.58ドルところから18,213.65ドルまで下がり、約38%下がった。そのときは、逆に上記AHLの基準価額が上昇している。その後、コロナショック後大きくNYダウが値上がりしているときもAHLは上昇している。
■30年チャート
(参考)Man Funds VIII ICAV Man AHL Diversified DN USD, IE0000360275:USD charts – FT.com
上記AHLの基準価額は、なだらかに株価が上がっているときや上がらずボックス相場になっているようなときには、値下がりしている。一方、リーマンショックの2008年、NYダウが14,198.1ドルの高値のところから6,469.95ドルまで約54%下がったときは大きく上昇している。
投資にかかるリスク
『SBI-Manリキッド・トレンド・ファンド』への投資にかかるリスクは、以下が考えられる。
(1)コストが高い
(2)ボックス相場に弱い
(3)NISAで投資できない
ヘッジファンドは、先物取引や信用取引等、専門家チームによるプログラミングと、伝統的な投資に比べるとコストが多くかかる。通常の上げ相場で株式が上がっているときであれば、コストが多くかかっている分、日経平均等の指数に連動させたインデックス投資のほうが値上がり益は大きいだろう。今回SBIで販売されている投資信託は買付手数料や売却手数料は無料であるが、投資対象となっている投資信託に含まれるヘッジファンドにかかるコストは通常のインデックスよりは高いと考えられ、そのコスト分利益は減るだろう。
ヘッジファンドは、下げでも上げでも大きく一方向に相場が動くシグナルを見つけて、ロングポジション(買持ち)、ショートポジション(信用売り)にするかを判断している。
方向感のないなだらかな相場では、値上がりや値下がりの部分をとれず、損してしまう。
そして、『SBI-Man リキッド・トレンド・ファンド』はNISAでの投資ができないため、利益を非課税にすることはできない。また、償還期間が10年後の2034年7月12日に設定されていることにも注意だ。ずっと投資できるわけではなく、償還日には損していても償還される。
最後に、ヘッジファンドは、株式投資等の伝統的投資方法と異なり、先物取引等を使ったオルタナティブ投資であるため、初心者向けではなく、投資に慣れた方が今後訪れる株価下落に備えて投資したいときの一つの選択肢としておすすめだ。
(参考)
Man Group. Always Evolving.
※本稿は資産運用の結果を保障するものではございません。自己責任での運用をお願いいたします。
文/大堀貴子