米国英語でリリースされ、2025年には日本語、中国語、フランス語などに対応
Appleは2024年9月9日、パーソナルインテリジェンスシステムのApple Intelligenceを10月よりiOS 18.1、iPadOS 18.1、macOS Sequoia 15.1に提供を開始。さらに今後数か月の間に、より多くの機能を提供することを発表した。
併せてApple Intelligenceのために一から設計され、より高速で効率的なA18チップとA18 Proチップの搭載により、これまでで最も先進的で有能なiPhoneモデルとなっている新しいiPhone 16のラインアップも発表された。
Apple Intelligenceはまず米国英語でリリースされ、12月にはオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、南アフリカ、英国で英語のローカライズに速やかに追加対応する。そして来年には、日本語、中国語、フランス語、スペイン語などの言語へも追加の対応を予定している。
本稿では、同社発表リリースを元に、その概要をお伝えする。
Apple Intelligenceの機能は2024年10月、iOS 18.1、iPadOS 18.1、macOS Sequoia 15.1によって提供が開始され、さらに多くの機能も今後数か月の間に登場する予定だ。
Apple Intelligenceを使ってみる
Apple IntelligenceはiOS 18、iPadOS 18、macOS Sequoiaに深く組み込まれており、Appleシリコンのパワーを活用して、言語や画像を理解して生成したり、複数のアプリにわたってアクションを実行したり、パーソナルコンテクストにもとづいて、日々のタスクをシンプルにしてよりすばやくこなせるようにする。
その間、ユーザーのプライバシーとセキュリティは常に保護される。
Apple Intelligenceを動かすモデルの多くは完全にデバイス上で実行され、Private Cloud Computeにより、デバイス上の処理から、専用のAppleシリコン搭載のサーバ上で実行する、より大規模なサーバベースのモデルまで、演算能力を柔軟に拡張できるようになる。
Apple Intelligenceの初期機能は2024年10月から利用可能になり、楽しく直感的で使いやすく、ユーザーが最も重要なことをできるよう特別に設計された体験を提供していく。
例えば作文ツールにより、ユーザーは、メール、メモ、Pages、他社製アプリなど、ほとんどすべての文章を書く場面で、書き直し、校正、要約を通じて、言葉づかいに磨きをかけることができる。
Apple Intelligenceのパワーを活用したシステム全体で使える作文ツールにより、ユーザーはほとんどすべての文章を書く場面で、書き直し、校正、要約ができる。
写真アプリでは、メモリー機能により、ユーザーは説明を入力するだけで、見たいムービーを作成できるようになった。
さらに、自然言語を使って特定の写真を探せるほか、ビデオ内の検索がよりパワフルになり、クリップの中の特定の瞬間を探せるようになっている。
新しいクリーンアップツールは、誤って被写体を改変することなく、写真の背景にある不要な対象物を特定して削除することが可能だ。
写真のクリーンアップツールは、誤って被写体を改変することなく、写真の背景にある不要な対象物を特定して削除することができる。
メモアプリと電話アプリでは、ユーザーは音声の録音、書き起こし、要約ができます。電話アプリで通話中に録音が開始されると、参加者に自動的に通知が届き、通話が終了すると、重要なポイントを思い出せるようにApple Intelligenceが要約を生成する。
Apple Intelligenceは、複数のアプリにわたる通知の要約や、すぐに確認する必要がある通知のみを表示する新しい集中モードの「さまたげ低減」、Eメールの内容を理解して緊急のメッセージを上部に表示するメールの優先メッセージにより、ユーザーが優先順位を付けて集中できるよう手助けしていく。
ユーザーの受信ボックス全体で、各Eメールの最初の数行を単にプレビューする代わりに要約が表示され、最も重要な情報を知らせる。
メールのスマートリプライは、すばやく返信するための提案を提供するほか、Eメール内の質問を特定して、すべてに確実に回答できるようにする。
優先通知は、最も重要なことを知らせる。要約は、ユーザーが長い通知や積み重なった通知をすばやく確認するのに役立ち、ロック画面に重要な詳細情報を表示する。
Siriはより自然で、より文脈に即しており、より緊密にシステム体験に統合されている。iPhone、iPad、CarPlayで作動している時は、画面の縁を囲うようにエレガントに光り輝く、まったく新しいデザインが採用された。
Macでは、デスクトップの好きな場所にSiriを置いて、作業中に簡単にアクセスできる。iPhone、iPad、Macでは、Siriにいつでもタイプ入力できるだけでなく、Siriを使いながらテキストと声をスムーズに切り替えて、日々のタスクをよりすばやくこなせるようになる。
より豊かな言語理解の能力を備えたSiriは、ユーザーが言葉につまづいても話についていきながら、1つのリクエストから次のリクエストへと文脈を保つことができる。
さらにSiriは、膨大な製品知識にもとづいて、Apple製デバイスの機能や設定に関する何千もの質問に答えてくれるので、ユーザーは、画面収録の方法からWi-Fiパスワードの簡単な共有方法まで、あらゆることを学ぶことができる。
Siriは再設計され、作動している時は画面の縁を囲うようにエレガントに光り輝く。
■さらに多くの機能が登場予定
年内、そして今後数か月の間に、さらに多くのApple Intelligenceの機能が提供される予定だ。
Image Playgroundは瞬時に楽しい画像を作成。画像マジックワンドは、ラフスケッチを美しい画像に作り変えて、メモを視覚的に一段と魅力的なものにする。
さらに、何もない空白部分に円を描くと、周囲のコンテクストを使用して画像を作成することができる。
絵文字はまったく新しいレベルに引き上げられ、説明を入力するか、友人や家族の写真を選ぶだけでオリジナルのジェン文字を作成することが可能になる。
Siriは、ユーザーのパーソナルコンテクストを参照してユーザーに合わせたインテリジェンスを提供できるようになり、さらに有能になっていく。
オンスクリーン認識も加わり、Appleと他社製のアプリ内やアプリを横断して何百もの新しいアクションを実行できるようになる。
またユーザーは、ツール間を行き来しなくても、iOS 18、iPadOS 18、macOS Sequoia内での複数の体験からChatGPTの幅広い世界に関する知識にアクセスし、その専門知識や画像と文書を理解する能力を利用することができるという。
Image Playgroundは瞬時に楽しい画像を作成する。
■AIにおけるプライバシーの大きな前進
Apple Intelligenceは、あらゆる段階でユーザーのプライバシーを保護するように設計されている。Apple Intelligenceの基礎はデバイス上の処理で、それを動かすモデルの多くは完全にデバイス上で実行される。
より多くの処理能力を必要とする、より複雑なリクエストを実行する場合は、Private Cloud ComputeがApple製デバイスのプライバシーとセキュリティをクラウドにまで拡大し、より優れたインテリジェンスを活用できるようにする。
Private Cloud Computeは、サーバベースのインテリジェンスの根幹に革新的な飛躍をもたらす。
Private Cloud Computeを使用する際に、ユーザーのデータがAppleに保存されたり、共有されることはなく、データはユーザーのリクエストに応えるためにのみ使われる。
このプライバシーに関する約束が守られているかを継続的に検証するために、独立した専門家がAppleシリコン搭載のサーバ上で実行されるコードを調べることが可能で、すでに実施されている。
また、Siriまたは作文ツールを通じてChatGPTにアクセスすることを選択したユーザーのために、プライバシー保護が組み込まれており、ユーザーのIPアドレスは匿名化され、OpenAIはリクエストを保存しない。
ユーザーはアカウントを作成しなくても無料でChatGPTにアクセスでき、自分のアカウントとの連携を選択したユーザーには、ChatGPTのデータ利用に関するポリシーが適用される。
構成/清水眞希