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好きな映画で性格がわかる!?研究によって明らかになった「アクション映画好き」に共通する特徴

2024.09.13

思わずスクリーンに目が釘づけになる映画ジャンルの筆頭に挙げられてくるのがアクション映画だが、最新の研究ではアクション映画好きは感情的な刺激に敏感であることが報告されている。アクション映画好きはエモーショナルな場面に敏感に反応してハラハラドキドキを楽しんでいるというのだ。

アクション映画好きは扁桃体と側坐核の反応が活発!?

特に心理学者にとって映画が興味深い研究対象である理由の一つは、映画があらゆる感情を呼び起こすことにある。

そして犯罪映画やアクション映画、コメディ、ドキュメンタリーと、映画の好みは人ぞれぞれであるが、最近まで映画の好みと脳内での感情の処理との関連については、ほとんど知られていなかった。

ドイツのマルティン・ルター大学ハレ・ヴィッテンベルク(MLU)の研究チームが2024年6月に「Frontiers in Behavioral Neuroscience」で発表した研究では、アクション映画とコメディ映画のファンは、ネガティブな感情刺激に対して強く反応を見せるが、一方でドキュメンタリー映画と犯罪映画、スリラー映画を好む者の反応は著しく弱いことが報告されている。つまりアクション映画好きは映画を実に感情的に楽しんでいるのである。

257人が参加した実験では、映画の好みに関するアンケート調査に加え、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を使用して脳活動の分析が行なわれた。参加者はfMRIにかけられた状態で、恐怖や怒りの顔と幾何学的図形を見せられ、脳の感情刺激の処理方法が測定されたのである。

研究チームは脳の2つの領域に着目した。1つ目は重要な感情の処理を担う扁桃体で、特に脅威に対して“闘争・逃走反応(闘うか逃げるか反応)”を引き起こす可能性がある領域である。

もう1つは脳の報酬中枢として知られる側坐核の神経活動である。

分析の結果、アクション映画のファンは両方の領域で最も強い反応を示したことが判明した。アクション映画のファンは特に感情的な刺激に敏感で、この刺激を魅力的だと感じていることを示唆している。

研究チームは、コメディを好む人々の脳でも同様の脳活動を特定した。一方で犯罪映画やスリラー、ドキュメンタリーのファンの場合は、脳のどちらの領域も感情的な刺激に対する反応が著しく弱かったのだ。犯罪映画やスリラー、ドキュメンタリーが好みの映画ファンは、あまり感情的になることなく知的欲求を満たしながら映画を楽しんでいることになる。

研究チームはそれぞれの映画ファンは、自分の脳を最も最適に刺激する映画のジャンルを選択しているように思えると説明している。映画の好みも楽しみ方も人それぞれということになりそうだ。

映画とメンタルヘルスの関係

脳の扁桃体の活動は恐怖、不安、緊張、怒りなどのネガティブ感情の処理に関係しているのだが、研究チームにとってアクション映画好きがネガティブ感情の刺激に敏感であることは予想外であったという。アクション映画は一般的に多くの刺激を与えるので見る側はむしろ刺激に鈍感であるほうが都合がよさそうにも思えるからだ。

しかし分析の結果ではアクション映画愛好家は特に感情的な刺激に敏感であることから、ネガティブな感情もまた楽しめる要素になっていることが示唆されることになる。

たとえばアクション映画の場合、主人公が絶体絶命のピンチや窮地に立たされる場面があるが、アクション映画好きはこうしたネガティブな場面にも敏感に反応していることになる。しかしそうであるからこそ、その後に続く逆襲の大立ち回りをより痛快に楽しめるということなのかもしれない。

また映画館や自室といった安全な環境の中で、恐怖や脅威に晒されることはあたかもワクチンのようにストレスへの“免疫力”を高めるのだという説明もあるようだ。ホラー映画好きはまさしくこの心理的メカニズムでストレス耐性を高め、メンタルの健康を促していることになる。

そもそも人間の“喜び”と“恐怖”は神経学的にも密接な関係にあり、“恐怖”が“喜び”に変化することも起り得ることも指摘されている。ある種の人々がジェットコースターに乗ったりお化け屋敷に入ったり、あるいはホラー映画を見たりするのがクセになるように、恐怖と隣り合わせた後に放出されるドーパミンの快感の味をしめてしまうことにより、“管理された恐怖”がやみつきになってしまうのだ。

怖い映画を見ると、一時的に神経系にドーパミンからアドレナリンまでさまざまな神経伝達物質とホルモンの“カクテル”が溢れ、気分を高める穏やかな多幸感が得られることも科学的実験で確かめられている。また単にスクリーンでの恐怖体験は日常の些末な心配事や懸念を一時的にではあれ忘れさせてくれる作用もある。

昔に見た映画は忘れてしまっているものも少なくないとは思うが、その中でもアクション映画やホラー映画はわりとよく憶えているかもしれない。

その映画を見た時の年齢、場所、一緒にいた人を思い出すことで、ノスタルジックな思いがよみがえり、たとえ内容が強烈であったとしても、懐かしさのほうが勝り、メンタルへの良い影響を及ぼしそうだ。当時同じ体験を共有していた者とは思い出話も弾みそうである。プライベートの充実とメンタルヘルスのためにも、もっと映画を活用してもよいのだろう。

※研究論文
https://www.frontiersin.org/journals/behavioral-neuroscience/articles/10.3389/fnbeh.2024.1396811/full

※参考記事
https://pressemitteilungen.pr.uni-halle.de/index.php?modus=pmanzeige&pm_id=5788

文/仲田しんじ

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