障害者雇用促進法43条第1項では、43.5人以上の従業員がいる民間企業に対して2.3%の障害者の法定雇用率を設けており、未達成の会社に対しては、給付金の徴収や行政指導が行われることが定められている。
2022年の実雇用率は2.25%、達成企業は48.3%で、雇用率目標を達成している会社とそうでない会社が半々だ*1。
*1 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29949.html
障害者の増加や法の改正、法定雇用率の引き上げが予定されていることを考えると、企業には、障害者の雇用と就労に対してより正面から向き合うことが求められていると、リクルートマネジメントソリューションズ所長の古野庸一氏は話す。
そこでリクルートマネジメントソリューションズは、現在の職場で障害がある人と一緒に働いて3カ月以上経過している380名に対し、「障害のある人と一緒に働くことに関する実態調査」を実施し、「どのような配慮を行っているか」や「一緒に働くことによる影響」など、調査結果から見える実態について公表した。
「対人関係や対人コミュニケーションに関する困難を抱えている人」と働いている人が最多
どのような困難を抱えている人と一緒に働いているかについて、「特例子会社等」と「一般組織」に分けて調査したところ、両群とも最も多いのは「対人関係や対人コミュニケーションに関する困難を抱えている人」であった。「特例子会社等」では61.5%、「一般組織」でも44.7%となっている。
「特例子会社等」で、2番目に多いのは「体力的、気力的な困難を抱えている人(50.0%)」「行動や感情をコントロールすることに困難を抱えている人(50.0%)」という結果に。
「一般組織」では、2番目に多いのは「移動や視聴覚に関する困難を抱えている人(39.7%)」、次いで「体力的、気力的な困難を抱えている人(27.5%)」だった。
一緒に働く立場から見て取ったり感じ取ったりできる困難の状況には、限りや偏りがあると思われるが、一緒に仕事を進めていくなかでは、「対人関係や対人コミュニケーションに関する困難」は、特に認識されやすいものの1つだということが示唆される。
また、総じて「特例子会社等」の方が選択率が高いものの「一般組織」においても、さまざまな種類の困難を抱える人が、同じ職場で働いていることが見て取れた。
図表1 どのような困難を抱えている人と一緒に働いているか〈複数回答/n=380/%〉