こんにちは。ファイナンシャル・プランナー(FP)であり、ウェルビーング・マネー・コーチの伊達有希子です。
私は今まで約1000人の方達の人生設計をお手伝いしてきました。FPはお客様の夢や目標を実現させるために、金融知識を使って選択肢を示し、経済的な面からサポートする専門家です。
私がFPを目指したのは、「自分が自分らしく、満たされた人生を生きるためには、お金と賢く付き合い、経済的な自立が大切」だということを身をもって学んだからです。
私が最初に就職したのは業界大手の呉服屋。お客様には富裕層の方が多かったため、仕事に慣れるにつれ、金銭感覚が少しずつ麻痺していきました。500万円の着物を見た後に30万円の着物を見ると、「お手頃」「お買い得」なんて感じてしまうほど。当時のお給料は、後者の着物と同じくらいなのにも関わらず!
社会人は何もしなくてもお金が貯まると本気で思っていたので、当時は貯金ができないことにも何の不安もありませんでした。
しかし、着物こそ買うのを思いとどまっていたものの、慣れない一人暮らしでの出費やストレス発散のためのお買い物が辞められなくなり、想定以上に貯金ができない日々が続いていきました。
そんな3年目のある日、さほど無理を重ねたつもりはなかったものの、過労に近い状態との診断を受け、休職を余儀なくされました。20代半ばでしたが前述した通り貯金もほとんどなく、その時に初めてお金の不安と真剣に向き合ったことを今でも覚えています。
その際に人事の方から傷病手当金という制度を教えてもらい、「こんな制度に守られていたのか!」と驚き、社会保険制度に興味を持ち始めました。幸い体調はすぐに安定したのですが、生活の質や働き方について真剣に考えたのもこの頃でした。
復職してからはハードな営業周りなどは控え、呉服展示会での会計業務などをやらせていただくことに。そこで経理や会計の楽しさに目覚め、体力的にもこれなら続けられそうだと確信し、ファイナンシャル・プランナーの資格を取得するに至りました。
加えて、自分の経験を通じて、一人ひとりの人生や価値観に寄り添ったFPになろうと決意し、今もその信念は変わっていません。
当たり前が当たり前じゃなくなった変革の時代、暮らし方の指針は不確定に
そして今、「風の時代」などと呼ばれる大きな変革の時代へと突入しました。
コロナ禍、急激な気候変動、テクノロジーの急速な進化などの波が押し寄せ、今まで「当たり前」と思われたてきた生き方、暮らし方の指針は不確定になりました。
多様性が重んじられるようにもなりました。働き方も以前よりずっと自由度が増しましたし、家族の在り方、結婚や出産についても、タイミングや価値観によって自分に適した時期を選ぶ人たちが増えています。
そんな時代の流れにフィットするキーワードの1つして「ウェルビーイング」が挙げられます。
当たり前が当たり前じゃなくなった今、ライフプランの基準は「自分らしく快適な人生」=身体的・精神的・社会的に健やかである状態「ウェルビーイング」な生き方へと変化しているのです。
ファイナンシャル・プランニングのキーワードも「ウェルビーイング」へ
私のクライアントにもさまざまな変化が起きています。
起業する人が増えました。その中の一人の方は、「コロナで自分の人生観を振り返った結果、やりたいことを1日でも早くやろうと思った」と話してくださいました。
職場の副業が解禁された方も多くいらっしゃいます。在宅ワークが追い風となり、ECショップをスタートさせたり、ZOOMをはじめとするオンラインツールの発達によってコンサルタントを始めたりした方もいます。外に出て働きたいと願う専業主婦の方もいれば、バリバリの営業マンですが在宅勤務に切り替えたいと考えている方もいらっしゃいます。
昭和の時代を代表するような、テンプレート通りの枠組みに人生をはめ込もうとする窮屈感(と感じていたのは私だけでしょうか?)を脱ぎ捨て、「自分にとって何が心地いいのか?」がライフプランの基準となり始めたのです。
このような時代の流れにあって、私たちの仕事であるファイナンシャル・プランニングのキーワードも「ウェルビーイング」へとシフトしつつあり、一人一人の人生に沿ったマネープランが求められるようになってきました。
プランニングの手法も一筋縄ではいきません。一人一人、現状や理想もそれぞれ異なるので、今までのような通り一辺倒なアドバイスでは通用しないケースがほとんどです。
まさに「心の時代」にふさわしい動きであり、ウェルビーイングという概念が定着した今、お金に対する新しいアプローチが広がっていることを感じさせます。
そしてこれこそ、私が目指したかったひとりひとりの人生や価値観に寄り添ったFPの形であり、私が独立系FPのメンバーと共にウェルビーング・マネー・コーチとして活動している理由でもあります。