高校生約20人が自発的に学び、考え、発信していく「ウォーターポジティ部」
こうした課題を受けて発足した『次世代ウォータープロジェクト』。小学生向けの授業では、飲料水として身近な存在の『サントリー天然水』ブランドから“水を未来につなごう”プログラムを、すでに5月から展開している。社会科の「水」単元をターゲットに、「水は限りある資源であること、その水資源を未来につなぐための活動を知り、自分でもできる身近なこと」を考える内容となっている。
同プログラムは学校の教員が授業を行う形式で、教員側からも「飲み水という生活に身近なものだからこそ、児童一人ひとりが水は大切な資源であることを“自分ごと”として考えることができ、授業に組み込みやすい」といった声があがっているという。開始時は5000人規模を上限にしていたが、25年からは24年の10倍以上となる5万人以上に拡張していく。
また幼児や小学生向けには、『サントリー天然水』工場でのスタンプラリーや自由研究も開催。山々に囲まれた工場敷地内を散策しながら、「水を育む森は多様な生物がいる“豊かな森”」であることを学ぶ「森のいきものスタンプラリー」を実施。雨や雪が地中に浸み込み約20年かけて天然水になる仕組みや、自然の果たす役割などを、「水の実験」を通じて学ぶ自由研究イベントとして期間限定で実施する。
中学生から大学生向けには、「水が好きでよく飲んでいる」という共通点を持つ有志で集まった高校生約20人が「ウォーターポジティ部」となり、水や、水を育む森の大切さについて学ぶ。その気づきを同世代に対して主体的に発信することで、「水資源の大切さ」の興味喚起・理解促進を図っていく。高校生自身が、自分たちにできることを等身大の目線で模索し、インスタグラムアカウントからの発信をはじめ、同世代にとってわかりやすく「身近に感じること」のできる啓発活動を目指す。
会見に登場した高校生は、「大好きな水に対して、同世代に興味を持ってもらい水資源の大切さに気付き、理解を深める活動をしています。すでに数回、座談会を始めています」と報告。普段、高校生がどれくらいの水を飲んでいるかを記録するワークを行い、サントリーの担当者から水について学んだという。水の現状を知った高校生は、「すぐに使える水がとても少ないことや、天然水ができるまでには約20年かかるため、豊かな森を作り守る必要があることも初めて知りました。自分たちのもっと先の未来にもつなげていきたいと思いました」と語った。
多田氏は、「水の資源には限りがあり、それは日本でも例外ではありません。現状を理解し、自分にも何かできることがないかと、この問題を『自分ごと』にしてもらうことがプロジェクトの最大の目的です」と説明。「水課題に対して同じ問題意識を持って取り組む仲間として捉え、『天然水』というブランドがより身近な存在になっていくことを期待しています」と語った。
若年層に向けて、そして若年層からも発信していく『次世代ウォータープロジェクト』。豊かな未来を目指し、ウェルビーイングな社会を実現するための一歩といえる。
取材・文/コティマム