これから「KINTO Unlimited」はどうなるの?
クルマの新しい利用方法とし、「KINTO」のサブスクサービスは多くのユーザーへと浸透しました。
そして、「KINTO Unlimited」は今後、次のような施策を新たにスタートする予定です。
1つ目は、コネクティッドドライブトレーナーのバージョンアップを24年度中に行い、運転データに基づいた従来のアドバイスに加えて、トヨタの中で高度な運転指導技能を持つドライバーのデータとの比較が可能になります。
「車にレーダーがついており、左右の障害物との距離を検知して、今、車がどこを走っているかを計測します。『道路の中心線からあなたの運転は15cm右に寄りがちですよ』とか、あるいは『30cmの幅で振れていますよ』といったことをモニターします。
そして、トヨタのS級免許というテストドライバーの免許所有者はこの振れ幅に収まり、これくらい真ん中を走ることができる……そんなデータがあります。そちらと照合して『お客様の運転はかなり上手なレベルです』とか『まあまあです』といったことがわかります。
そして、結果を良くするために、『もう少しアクセルをゆっくり踏みましょう』とか、『もう少し遠いところを見て運転しましょう』『信号をちゃんと先読みして運転しましょう』といったアドバイスができればと思っています」(小寺社長)
このコネクティッドについては、さらにブロックチェーンを活用して安全運転の記録を行う計画もあります。
「安全運転を認定したドライバーのみなさまに証明書をお渡しし、ブロックチェーン上に記録させていただこうと思い、実証実験を進めております。このデータは例えば、『KINTO』自体のお支払い額や中古車価格に反映させていただく。そんな可能性がございます」(小寺社長)
2つ目は、プリウスで利用できる、ARでクルマの機能を案内する「これなにガイド」でガイドできる範囲を大幅に拡大する予定です。さらに24年10月頃からヤリスへ、24年12月頃からヤリスクロスを対象車種に追加することになっています。
登場から5年を経過した「KINTO」。クルマをサブスクで安く利用するだけに留まらず、ネットを利用した安全で楽しくクルマが利用できるサービスに進化を続けています。
現在「KINTO」の利用者の4割が20歳台、30歳台の方だと言います。若いユーザーがクルマを利用する機会を増やしてくれるサービスとなっており、クルマ利用者の裾野を広げてくれています。
もちろん、安全面や利便性をネット接続で拡大し、適用車種が増えていけば、「KINTO」で新車を利用する人は、世代を問わずもっと増えるはず。
また、〝一生クルマを所有しない〟……そんな、サブスクだけを活用するユーザーも今後は増えるかもしれません。
サブスクで新車を利用することが、もしかしたら今後のクルマ利用の常識になるのかも? そんな予感をさせるサービスの今後に注目していきましょう。
取材・文/中馬幹弘