2024年8月8日、気象庁より南海トラフ地震の想定震源域で大規模地震への注意を呼びかける臨時情報が発表された(呼びかけは同月15日に終了)。この発表を受けて、消費者の購買行動には、どのような変化が見られたのだろうか?
くふうカンパニーグループが運営する個人向け家計簿サービス「Zaim」はこのほど、同家計簿サービスのデータをもとに、2024年8月8日の南海トラフ地震臨時情報発表後の購買行動の変化を分析し、その結果を発表した。
南海トラフ地震臨時情報発表後、被害予想エリアでは災害対策関連品目への支出総額が約2倍に
被害予想エリアにおける災害対策関連品目の支出総額は、8月8日の南海トラフ地震臨時情報発表後に大きく増えたことがわかった。発表は8日の夜だったため、翌9日の支出は7月の1日あたり平均支出額より倍増、続く10日~12日の三連休も1.3倍~1.8倍の支出増となった。
全国エリアにおいても8月10日は7月平均の約1.5倍と支出が増えており、週末にかけて被害予想エリアだけでなく全国的に災害対策関連品目の購入が進んだことがわかる。
最も早く購入に動いた品目は「水」、「電池・電球」は7月平均の6倍以上の支出額に
被害予想エリアにおける災害対策関連の品目ごとに支出の推移を見ると、多くの品目で南海トラフ地震臨時情報発表翌日の8月9日もしくは10日が支出のピークとなった。
その中で最も支出の増加が早く見られた品目は「水」で、8日夜の発表後すぐに購入に動いた人が多いことがうかがえる。
また、とくに変動が大きかった品目は「消耗家電(電池・電球)」で9日、10日ともに7月の1日あたりの平均支出額の6倍以上の支出が見られた。停電への備えとして電池の備蓄が進んだことが想定される。その他、「缶詰」「レトルト・レンジ食品・調理の素」「麺類」などの食料品、「ティッシュ・トイレットペーパー類」の消耗品も2倍以上の支出となった。
一方、「米・穀類」に関しては三連休にかけてなだらかな増加が続き、7月の1日あたりの平均支出額の約2倍となった。
■くふうAIスタジオ データ分析担当者・舞山潤一氏の考察
2024年8月8日の南海トラフ地震臨時情報発表後から、災害時の備蓄関連消費の支出が全国的に増えたことがわかりました。
南海トラフ地震については数年前から注目されておりますが、中でも今回の注意喚起は政府からの発信として初めてのものだったこと、さらにテレビで画面の脇に表示され続けるなど目に留まりやすい状況であったことなどが、消費が急激に伸びた背景にあると考えられます。
被害予想エリアの中で見ていくと、以前から津波などによる被害が想定されている四国エリアでは他のエリアに比べて伸び率が小さく、普段から備えがされていることが一因として考えられます。一方、目立って伸びているのは近畿エリア・東海エリアであり、今回の発表を受けて現実味が増してきたことで備蓄関連の商品の購入が増えたのではないかと推察されます。
<調査概要>
調査期間:2024年7月1日~8月13日
調査方法:対象期間内のZaim家計簿データより、災害対策関連の品目を対象※に1000人当たりの支出金額を算出し、その増減と推移を調査。
※<調査対象品目>
レトルト・レンジ商品・調理の素、スープ・みそ汁、缶詰、麺類、パン・シリアル、米・穀類、水・清涼飲料、ベビーフード・ミルク、ティッシュ・トイレットペーパー類、介護用品、ベビー用品、衛生品、風邪薬・鎮痛剤、せき止め・うがい薬、ラップ・アルミ・食品包装、その他家庭用品(ろうそく、マッチ、カイロなど)、消耗家電(電池、電球など)、肌着・下着・靴下
調査対象:全国
調査内の「被害予想エリア」とは静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、奈良県、和歌山県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、宮崎県
※内閣府が発表する南海トラフ地震防災対策推進地域にて「全域」が指定されている都道府県
出典: 家計簿サービス「Zaim」(株式会社くふうカンパニー)
構成/こじへい