災害時には様々な情報が錯綜する。その中にはフェイクニュースやデマも混在し、私たちにはその真偽を見極めるリテラシー能力が問われることになる。
NTTドコモの企業内研究所であるモバイル社会研究所はこのほど、全国15~79歳の男女8,991名を対象に「災害情報のXでの発信・拡散」に関する実態調査を実施し、その結果を発表した。
1. Xで災害情報を発信・拡散した経験がある人は、偽情報を見分ける自信が高い傾向
過去の調査で、災害時にXを利用して災害に関する情報を発信或いは拡散をおこなった経験(知人へのダイレクトメッセージは除く)がある人は約1割となった。また、災害時のフェイクニュース・デマなど偽情報を見分ける自信がない人は25%ほどだった。災害時のX等、SNSの利用は増える一方、偽情報の拡散など、課題もあるということがわかる結果となった。
今回はXを用いて災害情報を発信・拡散した経験の有無と、偽情報を見分ける自信の有無の関係を分析した。
その結果、災害情報の発信・拡散をしたことがある人は、偽情報を見分ける自信がある割合が高い傾向であり、発信・拡散がある人は、ない人と比較して、偽情報を見分ける自信がある割合が25ポイントも差があった。
図1. Xで災害情報を発信・拡散した経験と偽情報を見分ける自信
2. 若年層の中で、Xで災害情報を発信・拡散した経験がある人は、偽情報を見分ける自信がより高い傾向
災害時に、Xを利用して災害に関する情報を発信或いは拡散を行った経験が多い10~20代について、発信・拡散と偽情報を見分ける自信を合わせた結果を図2に示す(2024年3月4日レポート図2)。発信・拡散をしたことがある人の中で、偽情報を見分ける自信がある割合は、約6割と図1で示した全体より高い傾向だった。
図2. Xで災害情報を発信・拡散した経験と偽情報を見分ける自信(10-20代)
3. 発信・拡散した経験がある人の半数はファクトチェックを知らない
偽情報の発信や拡散を防ぐためにも、ファクトチェックなどの対策が求められる。それでは、Xで災害情報を発信または拡散した経験がある人は、どれくらいファクトチェックを知っているのか、分析した。(図4)
また、Xで災害情報を発信・拡散した経験とファクトチェックの理解をあわせてみたところ、図4の通り、発信・拡散をしている人は、用語の理解が他と比較し高いが、理解していない・聞いたこともない人は半数を超えていた。
図4. Xで災害情報を発信・拡散した経験とファクトチェックの理解
同様に災害情報の真偽を見分ける自信とファクトチェックの理解を合わせて見た。その結果、真偽を見分ける自信がある人の35%は、ファクトチェックを理解していない・聞いたこともないと答えた。
図5. 偽情報を見分ける自信とファクトチェックの理解
<調査概要―「2023年防災調査」―>
調査方法:Web
調査対象:全国 15~79歳男女
有効回答数:8,991
サンプリング:QUOTA SAMPLING、性別・年齢(5歳刻み)・都道府県のセグメントで日本の人口分布に比例して割付。
調査時期:2023年11月
構成/こじへい