学齢期と思春期の若者でよく見られるlong COVIDの症状とは
大人と同様、学齢期や思春期の若者も、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状(以下、long COVID)を呈することが新たな研究で示された。
この研究では、学齢期の小児(6~11歳)と思春期の若者(12~17歳)の間には、類似しているが区別可能な症状のパターンのあることが明らかになったという。米ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医科大学院小児科分野のRachel Gross氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に8月21日掲載された。
世界中で6500万人の人がlong COVIDに悩まされていると推定されている。Long COVIDはCOVID-19急性期後に持続・発症・再発し、数週間か数カ月、ときには数年間も続く一連の症状や兆候、状態を指す。
論文の共著者の1人である米マサチューセッツ総合病院のTanayott Thaweethai氏は、「これまでのlong COVIDに関する研究のほとんどは成人に焦点を当てたものであり、この複雑な病態が小児においてどのように現れるのかはあまり明確になっていない」と話す。
今回の研究では、6~17歳の小児を対象に、long COVIDの中で最も一般的な症状が何であるのか、また現れる症状は学齢期と思春期で異なるのかが検討された。
対象は、学齢期の小児898人(平均年齢8.6歳、女児49%、COVID-19罹患歴あり751人、罹患歴なし147人)と思春期の若者4,469人(平均年齢14.8歳、女性48%、罹患歴あり3,109人、罹患歴なし1,360人)であった。感染から症状に関する最初の調査実施までの期間中央値は、学齢期の小児で506日、思春期の若者で556日であった。Long COVIDについては、保護者が75種類の症状のうち対象者に当てはまるものを回答した。75種類の症状は、対象者の5%以上に該当するものだけに絞り込まれた。
その結果、COVID-19罹患歴がない場合と比べて罹患歴のある学齢期の小児と思春期の若者では、両者に共通して頻発する症状として14種類があり、さらに、学齢期の小児にのみ認められる症状として追加で4種類、思春期の若者にのみ認められる症状として追加で3種類あることが確認された。
罹患歴と最も関連性の高い症状の組み合わせを特定したところ、学齢期の小児では、記憶障害や集中力の低下、背部や首の痛み、胃痛、頭痛、恐怖症、登校拒否、皮膚のかゆみや発疹、睡眠障害、吐き気または嘔吐、ふらつきやめまい、の10種類であり、神経認知機能、痛み、消化器症状に関わる症状の多いことが明らかになった。一方、思春期の若者に特徴的なlong COVIDの症状は、嗅覚や味覚の変化や喪失、身体・筋肉・関節の痛み、日中の倦怠感、歩行後の疲労、背部や首の痛み、記憶障害や集中力の低下、頭痛、ふらつきやめまい、の8種類であり、学齢期の小児には見られなかった味覚や嗅覚の症状や倦怠感の生じることが示された。
Gross氏は、「この研究は、これまであまり対象とされてこなかった学齢期の小児と思春期の若者におけるlong COVIDを特定するためのツールの開発に向けた第一歩を刻むものだ。ただし、得られた結果は、今後の研究の中で変化し、拡大する可能性が高く、今すぐに臨床ツールとして使用することを意図してはいない」と述べている。
一方Thaweethai氏は、「この研究は、データ分析の結果に基づき学齢期の小児と思春期の若者における症状パターンの特定を試みた初めての取り組みであり、それにより、成人とは明らかに異なる結果が得られた。われわれは本研究により、小児におけるlong COVIDについて理解が深まることを願っている」と話している。(HealthDay News 2024年8月22日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2822770
Press Release
https://nyulangone.org/news/recover-study-determines-most-common-long-covid-symptoms-children-teens
構成/DIME編集部