寒さ対策だけでなく夏の作業着にも!?
ワークマンの土屋専務によると、暖冬続きで分厚く保温性の高いウエアの出番が少なくなったこと、そして保温性の高いウエアを着込んでいると電車や建物の中では暑すぎることもあり、ワークマンでは2年前に比べて分厚い防寒アウターの売り上げが16%減少。天気や気温に左右されないコスパの高い防寒ウエアの開発が急務だった。
試行錯誤するうちに、目にとまったのが住宅の断熱材。ワークマンが得意としてきた”保温”から、外気を遮断する”断熱”に発想を変えた結果、生まれたのが「XShelter」シリーズなのだ。
目指したのは「いつでも快適な空間を実現するシェルターのような服」。
日本赤十字看護大学附属災害救護研究所とともに1年半かけて開発を行ったそうで、能登半島地震での救護活動でも使用され、その結果がフィードバックされた自信作だ。
▲衣服内を約30℃、湿度50を保つそうで、裏地に搭載されたサーモメーターで確認できる
「25℃の会場内でベストを着ていますが汗をかいていません。
たとえば冬の朝、気温5℃の中を駅まで歩いて、電車に乗り込むと(電車内は)25℃。駅でアウターを脱ぐと邪魔になるし、電車の到着が遅れると汗が冷えて寒くなる。
けれどもXShelterは(5℃でも25℃でも)着たままでよく、ガマンせずにすみます。
また、寒さを防ぐだけではなく(断熱シートは)夏のウエアにも効果的に使えると考えています。もしかしたら1年を通して1着ですむ、という日がくるかもしれません」(土屋専務)
これまでヨシとされてきた「重ね着をし、こまめに脱ぎ着して衣服内温度を調整する」の真逆なのがおもしろい。
「XShelter」シリーズのアウターでは、発熱わたの量や配置位置が異なる8モデルを発表。
表地を防水透湿素材とし、雨や雪にも対応するモデルもある。
▲「エックスシェルター断熱AEGIS防水防寒スーツ」はGrade5
なお、今期よりワークマンでは「機能の格付け」を表示することになった。「耐雨度」、「防寒度」、「ストレッチ度」、そして来春からは「冷感度」なども加わる予定。
たとえば「耐雨度」の場合、Grade3=小雨をしのげる、Grade5=豪雨にも耐えられる素材を採用しているという意味で、だれもが使用シーンをイメージできる。
その上で、同じGradeであっても機能差(耐雨度の場合、耐水・透湿・撥水レベル)を星の数で表示しており、より使用シーンにあったモノを手に取れる。耐水圧にこだわって小雨の散歩用なのに重くて暑い、といったミスマッチがなくなるというわけ。
土屋専務は「この格付けが他社に普及し、いずれ世界標準になれば」と語ったが、格付けは素材による機能の違いを明確にするための表示。
アウトドアウエアではシルエットや縫い目の位置、ベンチレーターの有無、ファスナーの質などによって同じ生地でも着心地や使い勝手がガラリと変わる。このあたりは加味されていないということを承知しておきたい。