8月26日、ワークマン「2024年秋冬新製品発表会」が開催された。
「メリノウール」シリーズ、毛玉になりにくいスウェットなど新作がズラリ並ぶ会場の中でも、ひときわ注目されていたのが断熱シートを使ったウエア「XShelter」シリーズだ。
保温から断熱へ発想を転換
「XShelter」シリーズはすでに予約がはじまっており詳細は公式サイトにも紹介されているが、太陽光を効率よく熱に変える発熱わたと特殊断熱シートを組み合わせた”断熱層”によって衣服内の温度・湿度をコントロールする新発想のウエア。
衣類に断熱層を取り入れるとどんな効果があるのだろう。
「XShelter」シリーズの「エックスシェルター断熱レディース防水ウォームアウター」を着用したスタッフが、-20℃の冷凍室体験コーナーでデモンストレーション。
厳冬期用のようなもこもこ感などないウエアだが、サーモグラフィーを見ると、冷たい空気がアウターの内側に入り込んむことなくあたたかさをキープしていることがわかる。
「XShelter」シリーズの発熱わたは断熱シートと組み合わせることで、一般的なポリエステル綿に比べて30℃ほど多く、熱を蓄積するというのだ。
▲発熱わたと断熱シート(下側)を縫い合わせた断熱層のサンプル
断熱シートというと窓に貼るフィルムや銀色のエマージェンシーシートをイメージするが、「XShelter」シリーズの断熱シートは小さな気孔が独立分散していて、95%以上が空気。きわめてしなやかで軽い。
断熱シート単体でシャカシャカ音はなく、手のひらに収まるようギュッと小さく握った後でも素早く元通りに広がる。
断熱層サンプルは縦横方向にはほとんど伸縮しないが、斜め方向はまずまず伸縮する。
会場内のワークマンスタッフによると、表地・裏地よりも多少ゆとりを持たせているそうで、斜め方向の伸縮性とこのゆとりで、身体の動きを妨げにくくしているという。
会場内ではホットプレートに断熱シート(左)と一般的な化繊の布を敷き、その上に氷を置いた実験が行われていた。
化繊の上ではみるみるうちに氷が溶けて沸きはじめるが、断熱シートの上の氷は角が丸くなるもののなかなか溶けきらない。
断熱シートごしにホットプレートを押さえると、指先にじんわりあたたかさを感じるが「熱っ」と指を離すことはない。この薄さで驚きの断熱性を備えている。
ここで気になるのが透湿性。
どんなに断熱性が高く、外気の影響を受けなくても衣服内が汗でじっとりしているようでは不快でしかない。
断熱層サンプルをわけてもらい、口に当てて息を吹きつけてみたところ少しずつ息が抜けた。
ワークマンによると断熱層の透湿度は5000g/m²/24h。断熱層を挟む生地にも左右されるが、キャンプや旅行、通勤・通学では蒸れずにすみそう。
ちなみに、「XShelter」シリーズの断熱層は、表地側に発熱わた・身体側に断熱シートを配置している。素人考えでは逆のほうがいいように思えるが、発熱わたと断熱シートの配置はワークマンが培った技術により決まったものだと教えてくれた。