2024年の夏は記録的な猛暑が続いた。気象庁によれば東京都の7月・8月の最高気温は、記録的な猛暑だった2023年とほぼ同等でそして厳しい暑さは9月まで続くことが予想されている。
※東京都の2019年、2023年、2024年の月別平均最高気温の推移 (出典:気象庁「各種データ・資料」)
TimeTreeの社内研究所『TimeTree未来総合研究所』は、猛暑が我々の予定に与えた影響を、比較的夏の気温が低かった2019年と猛暑が続いた2023年、2024年の7月から9月の予定データを比較することで分析。TimeTreeユーザーの予定動向をまとめた「未来データレポート」の9月版として発表した。
山や海など夏特有の予定は減少。増加が予想された「プール」の予定は熱中症対策により減少か?
まずは夏特有の予定として「祭り」「山・海」「プール」の3つのカテゴリーを定め、カテゴリーに該当するデータを分類して予定数の変動を確認。
2024年は2019年に比べてどのカテゴリーも登録予定1万件あたりの出現数が7月と8月に減少しており、暑い時期には外出を避ける傾向が高まることが見てとれた。
なお、暑さを避けるために利用することの多い「プール」に関しては、暑くなるほど予定が増えるように思われるが、近年学校や屋外プール施設では暑さが一定水準を超えた日には、熱中症予防のためにプールの開放を中止することが増えている。その結果、7月・8月の予定数が減少したものと推測される。
屋外レジャーでも涼しく過ごすニーズの表れ?減少する「キャンプ」予定に対し「グランピング」予定は約3倍に
次に暑さの影響を強く受けそうな屋外のレジャー予定に注目してみると、「キャンプ」と「グランピング」という2つの類似したアクティビティで対照的な予定の変化が起きていることが判明。
具体的には2024年は2019年に比べ、7月から9月全てで登録予定1万件あたりの「キャンプ」の予定出現数が減少していたのに対し、「グランピング」はどの月でも約3倍に増加していた。
このことから、キャンプに比べてエアコンなど設備の整ったグランピングの需要が猛暑により高まっていることが推察される。
続いて暑さ対策に関する予定に着目。屋内での暑さ対策に必須のエアコンに関する予定を見てみると、2024年は「エアコン掃除」「エアコン修理」「エアコンクリーニング」といったエアコンのお手入れに関する予定が7月から9月のどの月でも増加しており、暑さが本格化したことでエアコンの稼働が増え、手入れを行う人が多くいた。
その他暑さ対策に関する予定として、2024年は「かき氷」の登録予定1万件あたりの出現数も7月から9月の全ての月で増えている。
近年はおいしいかき氷を求めて食べ歩く「氷活」と呼ばれる活動もブームになっており、夏の暑さが強まるにつれて涼を求める人も増えているようだ。
■TimeTree未来総研所長 深川泰斗氏のコメント
日頃何の気なしに暮らしていると、数年前の気温の感覚やその中での具体的な過ごし方についての記憶は薄れ、今の生活との違いを実感として比較することは難しいでしょう。
しかし、「生活の記録」とも言える予定データをマクロな視点から比較すると、そこに起きている変化を捉えることができます。
今回の調査では暑さが我々の生活に及ぼす影響を調べた結果、夏本番の猛暑の中では外出予定が減少したり、エアコンで暑さに備えるための予定が増えたりといった傾向が見られました。
この結果は、実は今年同様に猛暑だった2023年も分析すると、同じ変化が顕著に見られます。地球の温暖化が年々進む中、こうした傾向は今後より加速していくと予想されます。
一般的に暑さは「避けるもの」「備えるもの」とネガティブに捉えられがちです。しかし、調査結果の中でご紹介した「グランピング」や「かき氷」のような、暑い中でも楽しめる予定も多くなっていくのではないでしょうか。
分析データについて
・2019年、2023年、2024年の7月から9月の予定データについて、一定数以上の入力のある予定名(約3300件)を抽出し、調査テーマに関連した変化が見られたものを分析
・分析に使用したデータは、匿名性を保つために統計的に処理している
関連情報
https://timetreeapp.com/intl/ja/future-research-institute
構成/Ara