次に円高になるのは?
次に円高になるのは、利上げをストップしている米国が利下げを行うことである。米国金利が下がれば日米金利差が縮小し、円キャリー取引の逆戻しが起こり、円高になり得る。
今度米国が利下げするのは、9月に行われる米国のFRBの金融政策会合(FOMC)ではないかといわれている。7月のFOMCで「9月の会合で利下げすることが適切になるだろう。」との意見が大多数であったこと、8月23日の講演でFRB議長が「政策を調整すべき時が来た。」と述べていることから、次の9月に行われるFOMCで利下げが行われるのは確実だろうと考えられている。この会合では0.25%の引き下げが行われるのではないかとすでに金融市場では予想されており、0.25%の利下げが決定されてもそこまで円高にはならないかもしれない。一方で、この数字以上の利下げ、さらに次の会合での利下げが言い含められれば、さらなる円高がすすむ可能性はある。
FRBが利下げに動くかどうか判断する際に参考とできる数字として、以下がある。
・米個人消費支出(PCE)
米国の個人消費支出は米国GDPの70%を占めることから、PCEは米景気を左右する重要な指標である。このPCEで、食料品とエネルギーを除いたコアPCEはFRBが物価状況を見るのに参考にしている。PCEの公表前に、先んじて同じ消費物価を表す消費者物価指数(CPI)が公表されるため、PCEの先行指標としてCPIによっても金融市場が動く。
・米新規失業保険申請件数
申請件数が増加すれば失業者が増加していることを表し、利下げ要因となる。
・米住宅着工件数
金利が高いままであれば借り入れによって行われる住宅購入件数が減少する。大幅に減少するときは、利下げの目安となる。
日米金利差に注意
円高になれば、当然外貨建て商品、株式や投資信託は損失を被る可能性があることから、このような商品に投資している人は為替の動向をチェックしておくことが必要だ。特に日米金利差が縮小するような米国金利が利下げになるかどうかについてはよく注視する必要がある。
(参考)
パウエル議長講演、利下げ巡るシグナル探り市場が注視-年次会合開幕 – Bloomberg
文/大堀貴子