ウガンダの首都・カンパラ市内の「Rolex」を実食
外国人観光客が好んで宿泊する類のホテルに併設されたレストランやカフェでも、手軽にウガンダ料理を楽しめるよう、ロレックスを提供している場合がありますが、値段が高いということは仕方がないとしても「高級ホテルで食するローカルフードは、真のローカルフードと言えるのだろうか?」という疑問が湧いてきます。ということで、ウガンダ人の同僚と一緒に「ありきたりのロレックスを食べる」体験をするためにカンパラ市内の中心部へ出かけました。
カンパラ市内中心部にある平均的な食堂の様子。
Googleで入念に下調べを行うことも大切ですが「その地のオーセンティックな体験をすること」に何よりの喜びを感じる筆者は、Googleマップ上に存在しない飲食店に入店することに興奮を覚えます。
程よいローカルな雰囲気が漂う店内には、近くのオフィスで働いていると思われる労働者の姿がちらほらと見受けられます。筆者はメニュー表に「Rolex」の文字を発見するなり、「それ以外の選択肢などあり得ない」とロレックスを注文します。
ロレックス1人前
物価の高い中心部の食堂であるため、下町の露店価格よりは割高です。それでも1人前5,000ウガンダ・シリング(約200円)という金額ながら、もの凄いボリューム感です。作り手によって幅広いバリエーションがありそうですが、卵はチャパティの倍以上の厚さがあり、チャパティ特有のややオイリーな食べ応えも相まって、一口食べる毎にお腹が満たされる満足感があります。実際に食べてみると、思ったよりも淡白な味付けであったため、やや酸味の利いた千切り野菜を卵と一緒にトッピングするという発想には納得でした。
インド風「Rolex」
筆者が興味を引かれて実食してみたインド料理店のロレックスにはチキンティッカがラッピングされていました。厚めのチャパティでもきちんと調和が取れるよう、チキンの味はやや濃い目に調整されており、なかなかの美味です。フレンチフライの代わりはマサラ・チップスで、こちらもマイルドな味付けながらチキンとの一貫性があって美味しいものでした。
「ランチ・ロレックス・コンボ」3万ウガンダシリング.(約1190円)
ウガンダにおいては今尚インド系移民が経営するインド料理店が数多く存在するため、ロレックスはウガンダ料理であるものの、部分的にはしっかりとインドが感じられます。
食べ物に留まらない「Rolex」の文化
駐在員にも人気の「Endiro Coffee」では創作ロレックスが提供されています。こちらのロレックスにはオムレツの他、ベーコンとチェダーチーズが重ねられており、原型を維持しながらも親しみやすさが演出されています(ウガンダにおいてベーコンやチーズ等の加工品は高価であるため、本来、一般的ではない)。
「ベーコン・わくわく・ロレックス」2万6000 ウガンダシリング.(約1000円)
また、ロレックスの影響力はポップカルチャーにも及びます。ウガンダ出身のラッパー「フィク・ファメイカ(Fik Fameica)」は「Rolex」という曲名の新曲を発表しており、曲中「手に入れることが困難なもの」を「卵を7つも使用して作った(贅沢な)ロレックス」と表現しています。基本ロレックスには卵3個分のオムレツが巻かれていますが、追加で料金を支払うことでオムレツの枚数を増やすことができます。とは言え、1個あたり約40~100円と一見安価なロレックスでさえ易々と購入できる収入水準の人ばかりではありません。ウガンダの人々にしか伝わらないであろうものの、ロレックスに不可欠である卵の個数に言及することで、とても上手に「贅沢」を表現したものだなと感心しました。
現地紙に掲載された新曲「Rolex」の紹介記事。
例え、美味くても、不味くても、本場の味を知る経験は何物にも勝る感動があります。東部アフリカ、ウガンダを来訪の際には是非ロレックスをお試しあれ。
取材・文/村中 千廣
2024年よりウガンダ共和国在住。人道支援・開発援助分野でキャリアを構築しながら、赴任先での発見や観光情報を発信するフリーライター。北海道出身、30歳、訳書に『地下鉄で隣に黒人が座ったら』。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。