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スタンフォード大学も注目!75歳以上のスタッフによって作られている「ばあちゃん新聞」とは?

2024.09.01

75歳以上の“ばあちゃん”たちが作っている「ばあちゃん新聞」とは?

「ばあちゃん新聞」を発行しているのは、福岡県うきは市の過疎地域で75歳以上のばあちゃんたちが働く会社「うきはの宝株式会社」。同社を創業した代表取締役の大熊充氏は地元出身の44歳で、会社を設立したきっかけは、バイク事故で大怪我をし、4年間の入院生活を余儀なくされたこと。人生のどん底を味わっていた大熊氏に積極的に話しかけてくれたのが、同じ病院に入院していたおばあちゃんたちだった。

退院後、恩返しのつもりで送迎サービスをボランティアで始めた時に、多くのおばあちゃんが「年金だけでは生活が不安」「生き甲斐がない」という悩みを口にするのを聞いた。そこで、「生活が困窮したり孤立したりするのを防ぐため、ばあちゃんたちがイキイキと働き生きがいを感じ、収入を増やすのを目的とした会社」を設立。そのため、「ばあちゃん新聞」も20代~30代のスタッフに交じって、75歳以上のおばあちゃんが大活躍している。「ばあちゃん新聞」の文字校を担当しているのはなんと、近所に住む98歳の、ムツエさん。ムツエさんは従業員では無いが、ばあちゃん新聞顧問として力を発揮して手伝ってくれている。

「ばあちゃん新聞」の文字校を担当している98歳のムツエさん

「ばあちゃん新聞」は一部330円 年間購読料 税・送料込:6,578円

コンテンツはおばあちゃんの人生を紹介する特集記事をはじめおばあちゃんのファッションチェックや、おばあちゃんの人生相談、おばあちゃんの料理レシピ紹介コーナーなど。全国各地の一般のおばあちゃんたちが取材・掲載されていて、まさに「おばあちゃんが主役」の新聞だ。今までに200名以上の全国のばあちゃんたちが紙面に登場している。

「ばあちゃん新聞」は現在、毎月3,000部を発行(実売2,700部)しており、47都道県中43のエリアに読者がいる。毎月100件以上全国のばあちゃんたちから「わたしもうきはの宝で働きたい」「新聞の取材に来て欲しい」などと連絡が来るそうだ。月間発行部数1万部を目指しているが、最近になって購読申し込みが急増しているので、遠い夢ではないと実感しているとのこと。

ばあちゃん新聞発行元 うきはの宝株式会社 代表取締役で、編集長&デザイナーの大熊 充氏とばあちゃんスタッフ

大熊氏が「ばあちゃん新聞」を通してかなえたいのは、地元のおばあちゃんのQOLの向上だけではなく、日本の高齢者の中の意識の変革でもある。「全国の輝くばあちゃんたちを月刊紙で紹介することで、年を重ねることは悪くない、年を取っても誰かにありがとうや誰かに必要とされて適度に働くことは悪くないということを、新聞を販売して啓蒙したい」(大熊氏)。

ばあちゃんスタッフの内藤ミヤコさん(87歳)。前職は柿農家で、得意なことは料理とお喋り。うきはの宝のスタッフで、普段は農産物の加工、食品製造、マルシェ出店に従事している。「みんなと働きながら話をするのが楽しいです」

ばあちゃんスタッフの國武トキエさん(76歳)。前職は農家、現在は農家兼「うきはの宝株式会社」でアルバイトとして、農産物の加工、食品製造、マルシェ出店に従事している。「仕事を通じて色んな方に出会うのが一番の刺激であり幸せを感じています」

スタンフォード大学の長寿研究者も取り組みを評価

「ばあちゃん新聞」は発刊早々メディアにも大きく注目され、NHKの「あさイチ」を始め多くのテレビ番組や新聞などで紹介されたほか、JAL機内誌「SKY WARD」でも特集された。また全国の企業や団体、大学などから講演会やビジネス支援の依頼が殺到している。

海外からの見学者も多く、その一人がスタンフォード大学の教授で、同大学の長寿研究所で「仕事と健康」について研究・発信しているケン・スターン氏。「うきはの宝」の活動を見学し、普通に88歳のばあちゃんが働いていることに驚き、「やることがある、誰かに求められている役割があるということが重要」とコメントしたそう。

活動を高く評価した、スタンフォード大学の長寿研究者・ケン・スターン教授と大熊氏、スタッフ

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