ヒョンデのコンパクトEV「KONA」にスポーティモデルのN-Lineが2024年8月23日に加わり、いち早く試乗した。「KONA」は2023年11月から国内導入したBセグメントプラス・サイズのEVで、日常使いを意識した扱いやすいSUVだ。
新たに加わったN-Lineとは
その「KONA」にヒョンデのハイパフォーマンス・ブランド「N」からインスパイアされたN-Lineが加わった。イメージはBMWの「M」モデルに対し、標準モデルをドレスアップ&サスペンションチューンしたM Sportやメルセデス「AMG」に対してAMGラインがあるように、「N」にはN-Lineがある。
「ELANTRA」「SONATA」「TUSCON」「i20」といった国内には導入されていないモデルにはすでに、N-Lineがラインアップし、エンジンモデルにはサスペンションのチューニングをしたタイプも存在している。
「KONA」はEVのため、もともと車体剛性が高くサスペンション取り付け部の剛性、重量に対するサスペンションのチューニングが行なわれているため、「KONA N- Line」はハードパーツの強化や制御の見直しとった領域での変更はなく、標準車と同じままだ。
日常使いを意識し、使い勝手や乗降性、運転のしやすさ、ハンドルの軽さ、見切りの良さなど誰もが運転しやすいを目指した量販EV。リヤゲートは電動式でクラスを超える装備を持ち、フラットなフロアは足元が広く居住性も高い。
もちろん静粛性も高くEVならではの静かさと滑らかさがある。アクセルレスポンスもICE(エンジン)では味わえない反応速度で応答するため、思った瞬間に加速してくれる。そうした日常を化粧映えさせたのが「KONA N Line」というわけだ。
化粧映えした「KONA」
「KONA N-Line」はエクステリアと、インテリアをデザイン加飾し、所有欲をそそる見栄えに変更。いつもの道がもっと楽しくなる快適スポーティSUVという位置付けだ。すっぴんもいいけど、化粧した方がもっと映えるよ、というわけだ。
フロント周りでは専用のフロントバンバーが装備され、見た目は標準車と大きく変わり、ロボコップから血が通う人寄りになった印象を受ける。サイドビューはウインドウ周りのモールディングがシルバーからブラックに変わり、全体に引き締まった見栄えになる。ホイールもサイズは標準車と同じだが、専用アルミデザインでセンターキャップに「N」のロゴが入り、ネイルも完璧といったところか。
リヤビューは専用のウイングタイプリヤスポイラーがバックシャン。控えめな印象から推しの強さに変わり性格まで変わったの?と聞きたくなる。専用リヤバンパーを装備し、後ろ姿は明らかに好戦気質を漂わせているのだ。
インテリアも専用パーツの採用、加飾が行なわれ、標準車はオールレザーシートだが、N-Lineはアルカンターラとレザーのコンビシートに。シートバックに「N」のロゴとレッドステッチでアクセントが付いている。
ステアリングも革巻きは同じだが、「N」のロゴと赤ステッチが入るだけでスポーティな空気が漂うから不思議だ。また標準車のAピラーとルーフはグレー内装だが、N-Lineではブラックに変更し、インテリア全体がブラックに仕上げている。
ライバルは不在!?
簡単に諸元を振り返るとボディサイズはB+セグメント。ライバルはホンダ「ヴェゼル」やトヨタ「ヤリスクロス」、マツダ「CX-30」あたりで、輸入車ではフォルクスワーゲン「T-Cross」やプジョー「2008」あたりと競合するが、EVモデルは少ない。
航続距離は541kmというデータを公表しているので、日常使いのレベルでは充電も頻繁には不要な電池容量。長距離移動でも東京ー名古屋は余裕だし、もう少し先、大阪に届きそうな航続距離だ。
価格は標準車にプラス16.5万円の506万円。相手は工業製品なので、製品評価はフラットにみてどうか。また美人が多いと言われる韓国は、化粧映えが得意な商品づくりをしているのかもしれない。個人的には濃い目の化粧が好き派です。
■関連情報
https://www.hyundai.com/jp/kona
取材・文/高橋アキラ