インターネット上では「闇バイト」の勧誘が頻繁に行われています。
闇バイトに手を染めると、逮捕されて刑罰を科されてしまうおそれがあります。お金が欲しいとしても、闇バイトの疑いがある勧誘に応じてはなりません。
本記事では、闇バイトのよくある内容、闇バイトをした人が負うリスクなどを解説します。
1. 闇バイトとは
闇バイトとは、違法行為をするアルバイトの総称です。SNSなどのインターネット上では、お金が欲しい若者などをターゲットとして、闇バイトの勧誘が盛んに行われています。
闇バイトを主宰しているのは、主に反社会的勢力や、反社会的勢力と密接な繋がりのある違法業者です。自分たちに犯罪捜査の手が及ばないように様々な工作を行うため、捨て駒のように使うことを意図して闇バイトを募集しています。
2. 闇バイトのよくある内容
たとえば、以下のような闇バイトがよく募集されています。
・特殊詐欺の「受け子」「出し子」「かけ子」など
・違法薬物の運び屋
・銀行口座や携帯電話の名義貸し
2-1. 特殊詐欺の「受け子」「出し子」「かけ子」など
「特殊詐欺」とは、非対面の方法で不特定多数の被害者から金銭をだまし取る行為です。振り込め詐欺(オレオレ詐欺)などがよく知られています。
特殊詐欺には、被害者からお金を受け取る「受け子」、被害者が振り込んだお金を口座から引き出す「出し子」、被害者に電話をかける「かけ子」などが関与しています。
受け子・出し子・かけ子などの実働部隊は摘発されるリスクが高いため、闇バイトとして募集されているケースが多いです。
2-2. 違法薬物の運び屋
ヘロイン・覚せい剤・コカイン・大麻などの違法薬物は、日本でも犯罪グループによって高値で取引されています。
違法薬物を入れた荷物が発見されると、それを運んでいた人はほぼ確実に逮捕されます。摘発を回避するため、違法薬物の運び屋は犯罪グループのメンバーではなく、闇バイトに担当させているケースが多いです。
2-3. 銀行口座や携帯電話の名義貸し
特殊詐欺などの犯罪に用いる銀行口座や携帯電話を、闇バイトに応募してきた人の名義で契約させる例もよく見られます。
特殊詐欺の実行を担っていなくても、銀行口座や携帯電話を自分の名義で契約して他人に使わせることは、それ自体が犯罪行為です。
3. 闇バイトをした人が負うリスク
闇バイトに関与すると、警察に逮捕され、検察官に起訴されて、最終的には刑罰を科されてしまうおそれがあります。
インターネット上で闇バイトの勧誘を受けても、絶対に応じないようにしましょう。
3-1. 特殊詐欺に関与した場合のリスク
特殊詐欺に関与した場合は、詐欺罪(刑法246条1項)の責任を問われます。
詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。末端の役割を担ったに過ぎない場合でも、被害額などによっては実刑となるおそれがあります。
3-2. 違法薬物の運び屋をした場合のリスク
違法薬物を運んでいることを発見されたときは、覚醒剤取締法・大麻取締法・麻薬及び向精神薬取締法などの法律によって処罰されます。
また、海外で違法薬物を発見されたときは、現地法に基づいて非常に重い刑罰が科されるおそれがあります。薬物犯罪に対して死刑を適用する国や地域もあるので、十分ご注意ください。
3-3. 銀行口座や携帯電話の名義貸しをした場合のリスク
銀行口座の名義貸しをした場合は「1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金」(犯罪収益移転防止法28条1項)が科されます。
携帯電話の名義貸しをした場合は「2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」(携帯電話不正利用防止法第20条第1項)が科されます。
いずれの犯罪についても、情状などに応じて懲役と罰金の併科が認められています。
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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